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記事2001年9月13日 23号 (1面) 
私学事業団の廃止・民営化に“反論” 文部科学省
私学教育振興は国策として重要
廃止・民営化 設立趣旨に反する
私学の役割の重要性から困難
 政府の行政改革推進事務局は九月四日、それまでに同事務局が各府省庁に回答を求めていた特殊法人の廃止・民営化等に関する意見を公表した。このうち文部科学省は十三の特殊法人について回答しているが、日本私立学校振興・共済事業団の廃止・民営化等については、総合的な私学振興策の実施が困難になるなどとして、短期融資事業を除きいずれも「できない」との方針を表明している。今後は九月末にも行革事務局側の意見と各府省庁意見が併記された資料が公表される見通しで、年末にかけ両者間の激しい綱引きが続く。
 四日に公表された『特殊法人等の廃止又は民営化に関する各府省の報告』によると、文部科学省は、日本私立学校振興・共済事業団の助成業務に関しては、(1)私立学校は、大学生の約八割、高校生の約三割、幼稚園児の約八割と大きな比重を占め、わが国の公教育の普及発展に大きく寄与(2)私立学校の果たす役割の重要性にかんがみ、私立学校教育の振興を図ることは国が政策として責任を持たなければならない重要課題(3)教育研究条件の維持向上や修学上の経済的負担軽減という社会的要請は現在も将来にわたっても存在し続けるもの(4)同事業団は平成十年に私立学校教職員共済組合と日本私学振興財団を統合して設立されたもので、その趣旨からも事業団の廃止・民営化は不適当としている。また助成業務を他の運営主体に移管することに関しては、(1)国の直接的な介入を避け、私学の自主性を尊重するには特殊法人の形態が最適(2)長期低利の融資が行われない恐れがある(3)一部業務を他の運営主体に移管することは私学振興の効率的な実施を妨げるとしている。さらに助成業務の民営化に関しては、他の文教施策と整合性・一体性を確保しながら国の政策目的を実現することができなくなるなどの理由を明らかにしている。
 また共済業務の廃止・民営化等に関しては、(1)国公立学校教職員の福利厚生と均衡が取れなくなる(2)社会保障制度の一環として運営(3)収益性を第一義とする民営化にはなじまないなどとして、いずれも困難としている。ただし短期融資は、「民間の融資実態を踏まえ、民間に委ねられる部分は民間に委ねる」との方針。
 このほか日本育英会の育英奨学事業に関しては、経済財政諮問会議などで奨学金の充実が提言されており、社会のセーフティネットとしての育英奨学事業の役割は、今後さらに増していくもの、として国や民間企業等への移管は適当ではないとしているが、高校生を対象とする育英奨学事業に関しては、必要な経費を財源措置するなどの条件整備を行ったうえで、地方公共団体への移管を検討する考えを明らかにしている。

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