こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年8月3日号二ュース >> VIEW

記事2001年8月3日 20号 (2面) 
日短協、図書館担当者研修会
短大図書館の使命重要
国立情報学研究所の事業で講演も
 「21世紀と短期大学図書館」をテーマに、日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は七月二十三、二十四の両日、仙台市宮城野区の仙台ガーデンパレスで「平成十三年度私立短期大学図書館担当者研修会」を開催した。初日は京藤貫・国立情報学研究所開発・事業部コンテンツ課長が同研究所と図書館について講演したほか、三つのグループに分かれて分科会が行われた。
 この研修会は日短協の図書館研究委員会(塩川利員委員長=大阪青山短期大学理事長・学長)が運営を担当した。
 講演の中で京藤氏は、昨年四月に開設された国立情報学研究所の主要な設置目的の一つを、学術情報の流通のための先端的な基盤の開発と整備を行うことだとし、特に目録所在情報サービス(NACSIS―CAT/ILL)と電子図書館サービス(NACSIS―ELS)の二つの事業について説明した。目録所在サービスは、全国の大学図書館にどのような学術文献が所蔵されているかが分かる目録システムと図書館間相互貸借システムとに分かれており、現在、国公私立大学の約八〇%が参加している目録システムには短大の参加率が低いとして積極的な参加を呼び掛けた。また、電子図書館サービスについては、日本国内の学会が発行する学術雑誌のページをイメージ情報として電子化し、書誌情報とともに検索できるようにした情報サービスで、インターネット上で利用できると紹介した。
 三つの分科会のうち「短期大学図書館の自己評価」をテーマにした第三分科会では、前園主計・青山学院女子短期大学名誉教授が「図書館を取り巻く状況と図書館の使命」と題して講演。前園氏は「図書は人類の獲得した知識を記録するもの。図書館は知識を求める人に伝えていく社会的基盤」だとし、短大図書館は学生、教職員、求めている人に知識を伝えていくのが使命であるとした。ITの導入や業務のアウトソーシング化の進行で図書館が変わるようなイメージを持ちがちだが、短大図書館が担っている使命は変わらないとし、二年で卒業してしまう学生へのサービスを重視すべきだと強調した。 
 また、青山学院女子短期大学の海後陽三・図書課長が小規模図書館の管理運営について事例発表を行った。海後氏は小規模館であればあるほど業務が個人のスキルに依存し、個人に負担が掛かる傾向にあると指摘。図書館業務は通常の学校事務と異なり、自らの部署で意思決定まで行わなければならない業務が多いという特殊事情があるが、図書館を〈聖域化〉させずに、その果たすべき役割を学内で理解してもらうことが重要だと述べた。今後の短大図書館はそれぞれ特色を発揮していくことが生き残り策であるとし、最終的には、ある特定分野の蔵書に関しては他の図書館の追随を許さないという充実を図ることが決め手になるとした。
 研修会ではこのほか、仙台伊達家十八代当主・伊達泰宗氏が「独眼竜政宗四百年の時を越えて」と題して講演。伊達氏は政宗が奥州を平定できたのは、歴史の転換期という時の利、優秀な家臣団という人の利に加え、政宗自身が己を知ることの先天的知、強靭な精神力という天の利に恵まれていたからだと分析。また、彼が行った慶長遣欧使節の業績を徳川幕府の外航戦略が不明確な時点でいち早く敢然として行ったと高く評価。これは徳川家康に戦いを挑んだ政宗が、世界を舞台にした「流血なき最後の決戦だった」との見方を示した



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞