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記事2001年8月3日 20号 (1面) 
大学補助に競争原理
世界最高水準の大学目標に 奨学金の充実や自助努力を支援
私立小・中学校の設置促進へ 財源調達校地取得緩和
 政府の総合規制改革会議(議長=宮内義彦・オリックス株式会社代表取締役会長兼グループCEO)は七月二十四日、医療や教育等これまで公的主体が主たる担い手となっていた六分野に関して、今後の規制改革の方向性や具体策などを盛り込んだ「中間とりまとめ」を公表した。この中で教育に関しては、国立大学の独立行政法人化を検討する際に、寄付金、受託研究等の扱いが公私の大学で相互に競争的になるよう検討することや、多彩な教育理念に基づく私立の小・中学校の設置が促進されるよう、設置基準を明確化するとともに、財源調達や校地取得に関する要件を適切に緩和するよう求めている(2面に関連記事)。
 今回の中間まとめは、経済的分野に比べて規制改革が立ち遅れた社会的分野に関して、「医療」「福祉・保育等」「人材(労働)」「教育」「環境」「都市再生」の重点六分野を挙げて規制改革案を示したもの。
 これらの分野に関しては市場原理になじまず、「非収益的な慈善サービス」と位置付けられたため、「規制」や「官業構造」が温存され、供給側の問題からサービスの質的向上、量的拡大が妨げられ、改革が遅れてきたと指摘。そのため、これらの分野の規制改革を重点的に検討、新規産業・雇用創出と国民生活の質的向上に向け抜本的なシステム改革を進めるとしている。
 その際、これらの分野のあるべき姿を念頭に置き、政策目標・理念を明確にし、競争促進のルールづくりや予算措置等関連制度の見直しも含めたシステム全体の変革についての取り組みを意識的に強化していくことが効果的としている。
 今後は夏休み以降に関係団体や関係省庁からの意見聴取などを行ったうえで、年内に答申をまとめ、具体策を、改定という形で「規制改革推進三か年計画」に盛り込むことにしている。
 教育分野に関しては、大きく分けて六つの施策を提案しており、高等教育に関しては競争的な環境を整備することで教育研究活動を活性化、初等中等教育に関しては、学校の透明性を高め、多様化を促進することで質の高い教育サービスを提供していくとの方向性を示している。このうち大学関係では、大学教育に対する公的支援に関しては、機関補助に世界最高水準の大学を作るための競争という観点を反映させるとともに、個人支援を重視する方向で公的支援全体を見直す中で、奨学金の充実や個人の自助努力を支援する施策を検討する(平成十三年度中に検討・結論)。大学がより自主的自律的な運営ができるよう設置後の学部については、第三者機関による継続的な評価を前提として、その改廃を一層弾力化するよう、大学設置基準の見直しを行うこと、また新規産業やイノベーション開花の観点から工業(場)等制限法の見直し(十三年度中に検討)などを求めている。初中教育に関しては、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校(コミュニティ・スクール)を市町村が設置することができるよう、法制度整備を含めた積極的検討(平成十四年度中に検討)や、私立小・中学校の設置促進に向けた設置基準の明確化、財源調達や校地取得に関する要件の緩和(平成十三年度中に実施)などの方針を打ち出している。この設置認可に当たっては、設置認可の基準や要件等を明示した上で、「準則主義」に基づいた決定が行われるべきだとし、知事の諮問に応じて設置認可の是非などを審議する私学審議会の在り方の検討も必要としている(平成十三年度中に検討)。
 このほか公立学校に関しては、学校運営に係る責任を明確化するため、教育人事権を個々の学校に委譲することを含めて基本的な見直しを開始するべきで、教員や学校全体の評価システムを確立し、全校で実施、学校全体の評価結果については、公開が必要としている(平成十三年度中に検討)

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