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記事2001年8月13日 21号 (3面) 
東京都の教員の人事考査制度
特徴や課題聴取、秋に中間まとめ
 中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会は七月三十日、東京都内のホテルで第七回会合を開き、東京都が昨年度から導入した教員の人事考査制度について都教育委員会の小田原榮理事から制度の特徴や課題などを聴取した。
 同制度は教員の能力開発や人材育成などを目的に平成十二年度から導入された、「自己申告」と「業績評価」の二つの柱からなる制度。その評価結果は資質向上や待遇改善に活用されるが、指導力不足と認定された教員(今年度は二十六人)には、長期コース、通所コース、短期コースのいずれかの研修が課されることになる。
 同制度はスタートしてまだ日が浅いこともあって、教員の自己目標申告では、記載内容に具体性に欠けるものが多く、複数の人が同様の内容で申告してくるケースがあり、また評価側の訓練も課題のようだ。
 しかし校長が教員を以前より良く見るようになったとの声も増えているようで少しずつ定着しつつあるようだ。
 中教審委員の横山洋吉・東京都教育委員会教育長は「まだ一〇〇%の制度ではない。(制度が定着していくには)信頼関係が不可欠で風通しのよさも必要。評価結果の本人開示も検討している」と語った。
 その後、委員間で教員免許の総合化・弾力化、免許更新制の是非など諮問事項についての討議を行った。このうち総合化・弾力化に関しては、校種間の接続、区切り直しなどが話し合われた。
 中学・高校の総合化にほぼ異論はないものの、「幼稚園と小学校の教員免許を一緒に取りやすくすべきだ」「クラスを担任するとの観点から考えて小学校と中学校の教員免許の一本化は可能なのか」「教員養成系大学は小学校教員の養成に特化している。総合化とかみ合うのか」「中学と高校の免許を一つにした場合、教科に関する学習は十分なのか」との意見が聞かれた。
 小学校と幼稚園の教員免許の併有の機会を拡大するため、小学校の生活の教科の指導法の単位では二単位まで、特別活動の指導法の単位にあっては一単位まで、保育内容の指導法の単位を持ってあてることができるなど単位は少ないが相互乗り入れなどの措置が平成十三年度から実施されている。しかしなお幼小の教員免許の併有は、幼保の併有ほど簡単でないようだ。
 また教員免許の更新制に関しては、「東京都の話を聞いて更新制は不要だと思った」など教員の評価とその後の研修で更新制という新たな制度を設ける必要はないのではとの意見が多く聞かれたが、一方で「研修を税金でいつまで丸抱えできるのか。一度教員の資格を取ると終身(有効で)いいのか」との意見も聞かれた。
 さらに社会人の活用に関しては、「学校ボランティアでよい」「教員が専門性を持ち得ない分野に関して人材バンクづくりを進めている」等の意見が出された。
 同部会は夏休み中は、検討を休止し、九月上旬に再開する予定。
 九月以降は、夏休み明けにも文部科学省の事務局から提示される審議概要を中心に討議が進められ、秋口にも中間的なとりまとめを行い、年度内に成案をまとめる予定。また次回会合には現在の教員免許制度でどこまで弾力的な扱いが可能なのか、同省の考えが示される予定。


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