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記事2001年8月13日 21号 (1面) 
私大助成 “国が直接交付を”
行革推進事務局特殊法人見直し
文科省反論公務員の増員招き問題
 政府は八月十日、総理官邸で特殊法人等改革推進本部(本部長=小泉純一郎総理)を開き、行政改革推進事務局がまとめた報告書『特殊法人等の個別事業見直しの考え方』を了承した。
 この報告書は、特殊法人、認可法人の個別の事業ごとに行革事務局が見直し案を、所管省庁が事業の必要性等を提示したもの。
 教育関係では日本私立学校振興・共済事業団(以下「私学事業団」)、日本育英会、放送大学学園等の事業が取り上げられている。
 このうち、私学事業団の「私立大学等経常費補助等業務」に関しては、行革事務局側が、「大学の構造改革の方針において、大学に第三者評価による競争原理を導入し、評価結果に応じて資金を重点配分するとされていることにかんがみ、独立行政法人化する国立大学への交付金の交付と同様の仕組みとすべく、国以外の法人を経由した方が合理的・効率的であることが明らかな場合を除き、最終交付先へ国から直接交付する」との方針を打ち出している。また補助金自体についても、「個人支援を重視する方向で公的支援全体を見直す中で、機関補助である私学助成のあり方を見直す」との考えを示している。
 これに対して文部科学省側は、(1)学校法人への補助金交付、資金貸付、経営相談など私学振興を一体的・総合的に行っており、この方法が合理的・効率的(2)国の直接交付は公務員が増加するなど、国の行政のスリム化に反する(3)私学助成は国の直接的な介入を避け、私学の自主性を尊重することが必要と反論している。
 私学助成制度の見直しに関しては、「個人支援も大切だが、私学助成の充実がなければ、教育研究条件の悪化や経済的負担の増大を招く恐れがあり、個人支援の効果も期待できない」などと機関補助の重要性を指摘している。
 また同事業団の私立学校施設・設備等融資業務に関して、行革事務局側では「『民間でできることはできるだけ民間に委ねる』」という原則の下に、融資限度額を設定するとともに、融資期間が短い資金は原則廃止、出資金の追加は停止する」との方針を提示。
 これに対して文部科学省は、「民間金融機関が慎重になる私学への長期低利の融資は私学振興策として私学事業団が実施していくことが必要」とした。ただし短期融資に関しては一部民間委託する考えを示している。
 また融資限度額の一律設定に関しては、「適当ではない」とし、出資金に関しては充実を求めている。このほか行革事務局が整理・再検討を求めた宿泊施設や医療施設に関しては、個々の施設ごとに必要に応じて整理合理化を検討することを明らかにしている。

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