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全私学新聞

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記事2001年8月13日 21号 (1面) 
全私連が文科相へ 14年度予算・税制改正を要望
経常費補助の増額 教育負担軽減措置
文科相、“私学関係予算確保に最大限努力”

私大充実が不可欠
高校等も一千億台の大幅拡充


 全私学連合(代表=奥島孝康・早稲田大学総長)は、八月七日、東京・市ヶ谷の私学会館で代表者会議を開き、平成十四年度私立学校関係政府予算と税制改正に関する要望書をまとめ、同十日、遠山敦子・文部科学相らに提出した。遠山大臣は私学関係予算の確保に最大限の努力を約束したが、特殊法人の見直しで日本私立学校振興・共済事業団の事業見直しも検討されるなど厳しい状況があることなどにも言及した。要望書は与党文教関係議員にも提出された。今回の要望は、文部科学省の平成十四年度予算概算要求等に合わせたもの。
 このうち予算に関する要望は、大きく分けて(1)私立大学関係(2)私立高等学校等関係(3)私立幼稚園関係(4)日本私立学校振興・共済事業団関係(5)財団法人私学研修福祉会関係の五項目からなっており、要望の趣旨や内容などが盛り込まれているが、具体的な要望額の記載はない。大学関係では、わが国が世界のリーダーとして先進諸国に伍していくためには、科学技術立国や知的創造立国、教育立国の実現こそが最優先されるべき政策課題で、とりわけ大学の七五%を担当する私立大学の充実・活性化が不可欠と指摘。それにもかかわらず私立大学の学生一人当たりの公財政支出額は、国立の約二十分の一にとどまっていることなどをあげ、速やかに高等教育への公財政支出を欧米並みに拡充し、私立学校振興助成法制定の趣旨である私立大学等経常的経費の二分の一補助を達成するなど高等教育財政の確立を求めている。
 私立大学等関係予算の核となる私立大学等経常費補助金(平成十三年度予算額三千百四十二億五千万円)の補助率(私立大学等の経常経費に占める補助金の割合)は、昭和五十五年度の二九・五%をピークに低下を続け、平成十年度からは一一%台を低迷している。
 このほか私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助(平成十三年度補助額二百四億四千八百万円)、私立大学等研究設備整備費等補助金(同四十七億二千九百九十九万円)の増額、私立学校施設高度化推進事業費補助(利子補給)(同八億四千八百八十二万円)の助成対象範囲の拡大、日本育英会奨学金制度の整備充実などを要望している。


施設高機能化、教育環境整備の補助拡充


 高校等関係では国公立学校万能の旧態からの脱皮と私学振興が教育における構造改革であり、昨年五月に自民党文教部会私学振興プロジェクトチームがまとめた報告「二十一世のわが国を託する私学の振興方策等について」が提言した施策の実現を求めている。
 具体的には私立高等学校等経常費助成費補助金(同九百二十二億五千万円)の一千億円台を目指しての大幅な拡充を、学納金の公私格差是正のため、各都道府県が実施している私立高等学校授業料等軽減事業補助に対する国の補助制度の創設を要望している。そのほか私立高等学校等施設高機能化整備費補助金(同二十二億八千九百万円)や私立高等学校等マルチメディア教育環境整備モデル事業(同九億二千五百万円)の拡充強化等を求めている。
 幼稚園関係ではティーム保育の導入・展開、一学級の少人数化等のため私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園分)の増額、私立幼稚園施設整備費補助(同十三億七千四百万円)に関して補助対象に大規模改造事業を加えるなど事業実態に合った補助とすること、三階以上の使用が可能となるよう設置基準の見直し、安全管理システム導入のための事業補助、人材確保のための新たな方策の確立と財政支援、幼稚園就園奨励費補助金の拡充、一〇二条園特別補助制度の創設などを要望している。
 一方、税制改正要望では、学校法人の資産運用収益に対する非課税措置の維持など現行優遇措置の維持、寄付金等外部資金の受け入れ及び産学連携の促進、教育費負担軽減のための税制上の配慮等を要望している。



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