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記事2001年7月23日 19号 (7面) 
新校長インタビュー (32) ―― 正則高等学校
校長 永原 三千郎氏
学力と人間性を重視
共通授業大切に、2年から進路に対応


 「本校では生徒の大学進学という希望を大切にしつつも、高校という時期を大学進学の通過点で終わらせることなく、この時期に身につけておかなければならない学力と人間性を重視するという基本的な方針がある」、正則高等学校(東京都港区)の永原三千郎校長はこう語る。
 この基本的方針に基づいて、「特進」「習熟度別クラス」「コース制」のようなクラス編成は行っていない。授業では「高校生として必要な勉強は生徒の全員が共通に学び、身につける」ことを基本において、「均しクラス」の中での共通授業を重視している。
 また、進路指導で「高校は卒業後に自己開花させるための土台づくりの時期で、それに向けた『自分づくり』が大切であり、それが進路開拓の力につながっていく」という視点から、学級づくり、体育祭・文化祭などの行事を通しての自己形成につなげる指導が展開されている。
 あるいは、同校には「文章表現」の時間が一年から三年まである。これは単に文章を上達させるための指導ではなく、生徒が自分の体験を振り返りながらそれがいまの自分とどうかかわってきているかを洞察し、それを書くことで自己発見と自己形成につなげていく時間だ。その集大成が三年で取り組む、一人八千字で課す「自分史」の作成だ。
 こうした卒業後の自己開化を見通しての自己形成にじっくりと取り組みつつ、生徒を進路開拓に向けていく骨太い進路指導が同校では根底に位置づけられている。その上に、二年生から導入している「選択授業」が一人ひとりの進路に対応した学力形成に役立っている。
 また、永原校長は大学生の“学力低下問題”にふれてこう語る。
 「基本的には学習の量と時間の問題ではないのではないか。高校でこなれた、本当に身についた学習がされていたかどうかの問題ではないか。そうでないと剥離する学力で終わっていくのではないか」とし、「本校では共通授業の中では学ぶ意味が感じられる、いわば、“生きた学力”を位置づけており、それは大学入試の小論文に生きたり、大学入学後のゼミなどにも通用する学力につながっている」、そして「それはあずかって本校卒業生の大学側からの評価にもなっている」と言う。
 同校は来年度で共学三期目を迎え、全学年が共学になる。「共学になっても教育方針は変えていない。共学にして生徒はいい意味で男女が刺激を受けて一層活発になり、明るい校風に生まれ変わった」と永原校長は楽しそうに語る。
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