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記事2001年7月13日 18号 (2面) 
教員免許更新制に対する意見聴取
中教審教員養成部会が第4回会合
米国における免許制度の更新・上進制で報告
更新には幅広い活動用意
 中央教育審議会・初等中等教育分科会教員養成部会の第四回会合が七月五日、都内のホテルで開かれ、八尾坂修・奈良教育大学教授から「アメリカの教員免許制度における更新・上進制の特質」に関する報告を受けるとともに、教員免許更新制の可能性に対する意見を聴取した。それを基に教員免許制度の総合化・弾力化、教員免許の更新制の可能性の検討等を行った。

 この中で八尾坂教授は、かつて公立学校の教員不足に対応するため、米国では一定の要件を満たした者に下級免許状を交付、更新回数を制限するなどしたうえで、研修を課し上進させ、量の確保と質の向上に対応してきたこと、免許更新に必要な単位としては、大学での履修以外にボランティア活動など幅広い活動を認めていること、更新要件としての研修内容そのものは、自主的、自己研修的要素を考慮した内容が特徴となっている、などと報告した。そのうえで我が国の教員免許制度では、二種、一種、専修免許状のどれを有効期限付きのものにするのか、米国では直接結びついている更新制と教員評価について我が国ではどう関係付け、役割分担にするのか、上級資格取得が給与の引き上げとリンクしているなどの検討課題を指摘した。また更新制とリンクする研修に関しては、教員がリーダーと話し合って自発的に行えるシステムづくりの重要性を強調した。
 その後の討議では、委員から「教科をきちんとやった人の方が成果を上げている。免許制度をなぜ総合化するのか」「中高一貫教育校を全体の半分にするとの構想に基づいて中学と高校の免許の総合化が議論されるべきだ」「短大と専攻科で学士を取得した短大卒にも高校の免許状が取れる道を開いてほしい」「文部科学省は私学の教員研修に対して冷淡だ。私学の独自性にかかわらないような研修では公立学校と同等に扱ってほしい」などの意見が出された。
 教員免許制度の総合化では、中学と高校の統合を指摘する意見が多く聞かれ、小学校と中学校の統合にはこれまでのところ消極的意見が多いようだ。
 なお同部会は次回の七月十六日には九つの教育・経済・教職員団体から、また七月十九日には、十の経済・教職員・大学団体等から意見を聴取する予定。

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