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記事2001年6月3日 14号 (9面) 
ネットワーク時代の情報機器管理とセキュリティー
 インターネットの急速な発展や学内におけるネットワークの構築が進むと、学校をはじめとする教育機関の教育用機器や管理用のシステムに対するセキュリティー確保とコントロールが重要な問題になってくる。最近ではコンピュータ教室などの限られた場所だけでなくフリースペースや図書館などに端末を置いて学生・生徒や教職員が自由にネットワークに接続し、情報収集を行う学校も増えてきている。このような教育現場の現状を踏まえて、インターネットやイントラネットにつながるコンピュータ、および周辺機器のセキュリティーと管理に関する技術を紹介する。

情報機器使用ルール システムリカバリーソフト導入
パソコンの環境管理

 情報教育の進展や総合的な学習の時間の実施に関連して学生・生徒がパソコンを使用する機会が多くなると、好奇心やいたずらから学習用パソコンの環境設定が勝手に変えられてしまい、復帰に多大な労力を要することがしばしば起こる。このような問題を防止するためには、情報機器使用に際して守るべきルールを設けて、学生・生徒の倫理観を身につけさせることが必要になってくる。
 そのほかにシステム的な対処方法としては「システムリカバリーソフト」と呼ばれるソフトを導入する方法がある。このようなソフトはシステムの使用状況をチェックして、システム全体の環境を勝手な改変から保護したり、不要なプログラムをインストールすることを不可能にする。また誤ってファイルを変更してしまったり、消去してしまった場合にも元のファイルを復帰することができるので非常に便利だ。
 教育機関では学生、教職員、一般の来校者などさまざまな立場の人が情報機器やシステムに触れる機会があるので、利用者の立場や身分によって使用できるソフトを制限したり、アイコンの表示を制限する機能を持つソフトを利用することも必要だ。

ログインの管理とデータ保護

 教育機関の内部で利用されるデータは一般の学習用だけでなく、学生・生徒・教職員の個人情報、学術論文、開発途上のノウハウなど多様な価値を持つものが混在している。
 一方、システムやネットワークの利用者は新入生から、研究者、経営や管理に携わる人などさまざまな立場の人で構成されている。
 このように多様な価値を持つデータを、多様な立場の人が学内のネットワークを通じて利用する場合には、厳格なデータカテゴリーの管理と利用権限の確定や、万一、利用権限を持たない人がデータベースにアクセスした場合にも、データの内容が判読できないような状態(暗号化)にして保存するなどの取り扱いも必要だ。
 このような利用権限の管理を確実に行うためには、システムにログインしようとする人が真に権限を持った人、本人であることの証明すなわち認証を行うことが必要となる。
 現在、認証のシステムとしては、企業が提供する認証局を利用する方法、認証用のソフトを利用する方法などがある。暗号化ソフトには暗号化のみの単機能のものと、認証と暗号化を一つのソフトでできるシステムセキュリティータイプのものがあるので、条件、用途に応じて使い分けることができる。

使用権限を記録した学生、職員証 端末使用者には制限を
プリンターの出力制御

 学内のネットワークが整備されて多数のパソコンが複数のプリンターを共有する環境も一般的になってきている。大変便利になった反面、このようなシステムは十分な機器管理を行わずに、プリント出力を利用者の自由にさせていると、授業や研究に直接関係のない資料が大量に印刷されてしまうことも考えられる。
 このような問題に対処するためには、使用権限をあらかじめ記録させた学生証や職員証などを、端末を使用する学生・教職員らに配布して、使用可能なプリンターやプリント出力枚数の制限を行う方法が有効だ。特に最近のようにカラープリンターが導入されるようになると用紙代だけでなくトナーやインクが高額になるので、経費管理の面からも、学生・教職員のモラル管理の面からもきちんとした管理体制の整備が望まれる。現在ある出力制御システムは一般的に、学生・教職員ら構成員の力テゴリーごとの管理が可能であることと、プリンター出力のログも記録できるので、トラブルが発生した場合に機器使用の履歴をたどってトラブルの原因を追求し、事後の対策を立てる際のデータとして活用することもできる。
 ただ、このように管理用のソフトやシステムを導入しても、それですべての問題が解決したわけではない。管理用のソフトやシステムはあくまで、管理者の負担を軽減するためのものであって、システム自体に問題がないかどうかのチェックは定期的に行う必要がある。


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