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記事2001年6月3日 14号 (2面) 
優れた資質の判断基準提示
大学等への飛び入学で文科省に中高連が要望
分野別の具体例必要
受け入れ校に指導結果公浮ニ第三者評価
 日本私立中学高等学校連合会(堀越克明会長=堀越高校長)は、五月二十五日、大学等への飛び入学の拡大実施に当たっては、飛び入学の条件の一つとなっている「特に優れた資質を有する者」の「特に優れた資質」とは何か、その分野別具体例や判断基準等を示すよう文部科学省に要望書を提出した。

 要望書の中で同連合会は、「大学等への飛び入学制度は本人にとってはもちろん、社会全体にとっても有意義なものであることに間違いないが、生徒を送り出す高校側にとって、これらの資質を見出すことは実際上難しく対応に苦慮することが予想される」などとして、飛び入学で伸ばすべき「特に優れた資質」について、分野別に具体例とその判断基準を明示するよう要望している。また大学等が飛び入学生を受け入れて指導する際、前提となる適切な受け入れ体制の整備についても、一定の水準を確保するためにあらかじめ統一的な基準を定め、公表することを求めている。
 さらに各大学等が実施した受け入れ指導の結果について公表し、合わせてその当否を第三者が評価判定し、必要な場合には当該大学等に対して改善を命ずる権限を監督庁に留保しておくこと、実施には周到な準備と細心の注意が必要なことなどを法律の施行規則等に定めることを要望している。大学等への飛び入学の拡大は、現在、国会に出されている「学校教育法の一部を改正する法律案」に盛り込まれているもの。
 現在も高校二年修了後、大学への飛び入学制度は設けられているが、数学と物理の分野に限り、受け入れ側も博士課程を有し、教育研究上の実績及び指導体制を有する大学に限られている。こうした条件のためか、現在、この制度を採用している大学は国立では千葉大学、私立では名城大学のみ。
 昨年末の教育改革国民会議の最終報告では原則十八歳となっている大学入学年齢制限そのものの撤廃を求めたが、文部科学省は結局、原則は維持、飛び入学の対象を広げることとした。
 今回の改正法案では、数学、物理という分野の限定をはずし、受け入れ校についても大学院を有する大学との条件を改め、大学、短大、専門学校(専門学校については法律成立後省令で対応)に広く門戸を開放する。ただし同省では自己点検・評価の公表を義務づける方針(現在は努力義務)。
 現在、飛び入学の拡大実施に関するガイドラインが示されていないことから、送り出す側の高校からは、受け入れ校の特に優れた資質をめぐる恣意的な判断や、高校教育の形骸化を懸念する声が上がっている。
 四月十日、当時の町村文部科学大臣は飛び入学の拡大について、万単位の規模も視野に入れていることなどを明らかにしており、現在に比べてかなり規模の拡大が見込まれている。



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