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記事2001年6月23日 16号 (3面) 
平成13年度研究開発学校33件を新規指定
 文部科学省は五月三十一日、平成十三年度研究開発学校の新規指定を行った。百三件の応募の中で指定を受けた研究は三十三件。内訳は国立学校による研究が十件、公立学校による研究が二十一件、私立学校による研究が二件だった。

18年一貫の環境教育
教科再編の教育課程の研究など私学は2件

 私学関係の研究開発は、(1)甲南幼稚園、甲南小学校、甲南女子中学・高校、甲南中学・高校の、幼稚園から大学までの十八年一貫教育による「人と人、人と自然、人と社会の共生」を目指す環境教育、(2)暁星国際小学校・中学・高校の教科再編による教育課程の研究。
 このうち(1)は、環境に関係の深い教科(生活、国語、社会、理科、家庭、外国語等)と道徳の時間についてクロスカリキュラムを編成し、十八年一貫教育の中で指導方法や評価の在り方を研究開発する。また学校行事全体を環境教育推進の観点から見直し、県内外の環境教育先進校や海外の姉妹校と交流を深め、環境をテーマに「世界子供会議」の開催を目指す。そのため情報リテラシーや英語によるコミュニケーション能力向上に努めるとの内容。
 (2)は、▽学習に目的意識を持たせ、「統合された文脈ある知」=教養を修得させ、独創的で問題解決能力を持つ人材を育成するため、リベラル・アーツ(人文科学、自然科学、社会科学、情報科学)を導入する▽日本語、英語を習得し、駆使できる言語表現力の育成について実践研究を行う▽一律でない学習形式に応じた評価の在り方の実践研究を行うが研究開発課題。
 また研究概要は、小学校一年生から四年生、小学校五年生から中学二年生、中学三年生から高校三年生の三期からなる小中高一貫の「研究の森コース」を新設し、現行教育課程に示されている科目を再編成することにより、言語系とリベラル・アーツ系の二分野六科目を設定する。リベラル・アーツ周辺にはテーマ別研究を配置して前者は一クラス十人前後で、プレゼンテーション、ディスカッション中心で行う。後者はリベラル・アーツのための、調べ学習、基礎研究力を強化するためのトレーニングを行う。こうした取り組みで教養が身につき、総合的な視野が育成されるという仮説を検証する。評価については、テーマ別学習に含まれる基本的な技術や知識習得では絶対評価を用い、リベラル・アーツ研究では自己評価を軸とした「研究の自分史」を書かせるというもの。
 一方、国公立学校の研究開発は、「幼・小連携等」五件、「中・高一貫」四件、「高・大連携」三件、「小学校における教科『英語科』の設置」二件、「小学校における新教科・新領域」三件、「僻地における特色ある教育課程の研究」一件、「教科の再編による教育課程の研究」三件、「指導方法の在り方」一件、「不登校児童生徒への対応等」二件、「特殊教育」四件、「無学年制の導入等」二件、「企業との連携」一件といった内容。

国公立学校では地域の全校参加
小中高一貫、無学年制導入

 国公立学校の研究の概要をあげると―。

 (中高一貫)
地域のすべての小・中・高校(十五校)が一体となって取り組む連携型の中高一貫教育を中心とした小・中・高校連携教育の研究。

 (高大連携)
准看護婦資格取得を目指さない看護系高校の高大連携の在り方の研究。

 (教科の再編による教育課程の研究)
小学校一年生から中学三年生までの教科を、言語系、自然系、社会教養系、生活健康系、芸術系に再編成してこれらに関する講座、課題研究を行う。その際児童生徒の適性・能力を踏まえた習熟度別(小学校三年生以上)の学習集団を編成して、場合によっては学年の枠も取り払う。

 (無学年制の導入等)
学習集団と生活集団を明確に色分けする。学級は廃止し、生活集団「ホームベース」を構築する。学習集団については無学年、学年単位、ホームベース単位などを含めて、学習内容、学習形式、習熟度、興味関心などに応じて柔軟に編成し、真の「個に応じた」指導を目指す。

 (企業との連携)
技術革新に対応し、工業高校生徒の実践力、創造力育成に関する研究開発。将来のスペシャリストとしての資質・能力を養うため、週二から四日程度、一年間、企業に派遣して、就業体験の中で実践的な専門技術の進化を図る。

 ※研究開発学校制度=市町村教育委員会等の学校設置者からの申請に基づき、学習指導要領等現行の教育課程の基準によらない教育課程の編成実施を認めて、新しい教育課程、指導方法を開発していく制度。指定期間は三年。十二年度からは学校設置者の主体的な判断で研究開発課題を設定できるようになった。

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