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記事2001年6月23日 16号 (1面) 
経済財政諮問会議が構造改革
基本方針素案公表
民営化推進を強調
競争原理導入、奨学金の充実
 政府の経済財政諮問会議(議長=小泉純一郎総理)は六月十一日の第十回会合で、六月末に閣議決定する「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」の素案について討議した。また同会議では大学の構造改革について遠山敦子臨時委員(文部科学相)が資料を示しながらアウトライン等を説明した。
 この日公表された素案では、構造改革に向け七つのプログラムが提示された。七つのプログラムとは、(1)民営化・規制改革プログラム(2)チャレンジャー支援プログラム(3)保険機能強化プログラム(4)知的資産倍増プログラム(5)生活維新プログラム(6)地方自立・活性化プログラム(7)財政改革プログラム。このうち民営化・規制改革プログラムでは「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という原則の下、特殊法人等の見直し、民営化を強力に推進し、特殊法人等向け補助金等削減するとしている。また医療や介護、福祉、教育など従来主として公的主体によって供給されてきた分野に競争原理を導入するとしており、国際競争力のある大学づくりを目指し、民営化を含め、国立大学に民間的発想の経営手法を導入するなどとしている。
 また知的資産倍増プログラムでは、個人の「選択の自由」の下での人材育成を促進するとの観点から、機関に対する補助から個人に対する補助へ重点をシフトし、奨学金の充実や教育を受ける個人の自助努力を支援する施策(教育バウチャーを含む)について検討する。民間からの教育研究資金の流入を活発化するため大学が受ける寄付金・大学が行う受託研究の充実のための環境整備について、税制面での対応を含めて検討するとしている。さらに地方が潜在力を発揮できるように地方交付税制度を見直すとしており、政府の十四年度予算編成に関しては、循環型経済社会の構築など環境問題への対応や科学技術の振興等と並んで教育についても重点的に推進すべき分野と位置付けている。
 この日の会合で大学の構造改革について説明した遠山大臣は、「経済再生を始め、我が国の発展に結びつくよう、投資対象となるべき大学は創造的な人材育成と研究開発の役割をしっかり果たすべきで、大学の構造改革は、活力に富み、国際競争力のある国公私立大学づくりの一環として行う必要がある。世界の一流の研究者たちが日本に来るような魅力的な大学にすることで、他を切り捨てることではない」とした。
 このほか素案のバウチャー制に関しては、「バラまきという印象を強く受ける」(塩川財務相)、「バウチャーという言葉が非常に分かりにくい」(小泉総理)と異論が多く出された。

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