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記事2001年6月13日 15号 (1面) 
中教審、スポーツ青少年分科会
子供の体力向上策討議
 中央教育審議会は五月三十日、東京・虎ノ門の文部科学省分館で第二回スポーツ・青少年分科会を開き、子どもの体力向上のための総合的な方策について話し合った。この日は鳥居泰彦会長、奥島孝康分科会長、委員六人、臨時委員十一人らが出席。委員の間からは子どもの体力向上に向け、幼少年期における教育・指導の重要性、家庭への啓発の必要性を指摘する意見が目立った。
 鳥居会長は冒頭「どの角度から見ても日本の若者が変質している。ひ弱になっている」と発言。文部科学省の遠藤純一郎体育局長は同省が行った体力・運動能力調査の結果などを示しながら、昭和六十年から現在まで一貫して子どもの体力・運動能力は低下傾向が続いていることを指摘。家庭や地域において身体活動の機会が減っていることもその要因ではないかとし、子どもの体力向上に向け、委員の知恵を借りたいと述べた。
 子どもの運動する機会や遊ぶ機会の減少については岡島成行臨時委員、緒方重威臨時委員など複数の委員が異口同音に指摘。荒木喜久子委員は小学校長としての立場から、小学生でも一人で食事を摂る孤食や就寝時間の遅い子どもが多いことを挙げ、こうした家庭の教育力の低下が学校全体での取り組みを実りのないものにしていると述べた。浅見俊雄委員も「親は学力低下では騒ぐが、体力低下が起きていても騒がない。スポーツに価値があることをどうアピールするかが問題だ」と保護者や家庭の現状に疑問を投げかけた。こうした発言を受け、「進学時の評価基準に体力面での評価も加えるべきではないか」(緒方臨時委員)といった問題提起もあった。
 幼少年期における指導の重要性を指摘する意見は複数の委員から出た。小林寛道臨時委員は幼児期に体力づくりを重視した教育を行うべきだと指摘。幼稚園長の村上とも子臨時委員も体力づくりの基礎を幼稚園で行わなければならないと応じた。
 家庭への啓発に関しては「文部科学省による総合型地域スポーツクラブの支援などにより、スポーツ参加への一つの流れはできている。家庭への啓発をどのようにすべきか」(丸谷宣子臨時委員)、「親と子が自然体験できる受け皿づくりを」(岡島臨時委員)といった意見が出た。

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