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記事2001年6月13日 15号 (1面) 
学校改革の成否は 教職員の意識改革
「今後の経営の在り方」理事長、校長が経営研修会
社会の変化に対応
評価に見合った処遇必要
 「伝統と改革多様化する社会に対応する私学経営」を研究のねらいにした「私学経営研修会」が六月六日から三日間、岐阜市内のホテルを会場に開かれた。研修会には全国から約百三十人の私立中学高校の理事長や校長らが参加、パネルディスカッションや事例発表等を通して今後の私学経営の在り方を検討した。このうちパネル討議では学校改革や学校経営の成否を握るのは教職員の意識改革で、新しいことに挑戦しやすい環境づくりの重要性や、教員の評価や成果に応じた処遇の必要性が強調された。
 この研修会は財団法人私学研修福祉会が開催、岐阜県や日本私立中学高等学校連合会等が後援、財団法人日本私学教育研究所が協力したもの。研修会二日目には「私立学校の伝統と改革」をテーマにパネル討議が行われた。パネリストは金山良典・株式会社岐阜新聞社常務取締役、田島一男・株式会社田幸取締役社長、高田勲・逗子開成中学・高校長。コーディネーターは實吉幹夫・東京女子学園中学・高校長。
 このなかで金山氏は現実の経済社会で起こっている大きな変化が、教育の世界にも教育改革として現れていることを教育改革国民会議の最終報告を例にとり解説した。最終報告にある「新しい時代に新しいタイプの学校を」は構造改革、ベンチャービジネスで、「教員の評価システムや教育に向かない教員は辞めてもらう」はリストラ、「校長の裁量権の拡大」は自由競争を意味し、教育界でも競争が激化しつつあり、改革が求められていることを強調した。
 また人の意識を変えていくことは難しく一生懸命説得するしかなく、改革には手探りで対応するしかないこと等を強調した。
 田島氏は、自社の繊維事業の三番目の柱を育成するために、若手に自由に挑戦させていること、事務職でも毎日新しい方法を求めて検討を続け、役員も毎週勉強会を開いていることや、価格面ではたちうちできない海外と付加機能で競争していること等を説明した。
 高田氏は生徒の海難事故などから学校が危機的な状況となり、卒業生だった徳間書店社長を理事長に迎え、明確な教育方針を打ち出すことから始め、その教育方針に賛同できない教職員には退職を迫ったこと、学校の運営に関してはどの社会でも通用するものとし、情報はオープンとしたこと、教員の意欲を高めるため教員自らにアイデアを提案させ、あるいは年齢に関係なく要職に抜てき、その仕事ぶりや成果で優遇するなどの方法をとったことなどを説明した。
 また企業家の理事長に毎日、学校の様子を簡潔に報告、良くないことがあると厳しく叱責されたことなどが学校の教職員の意識改革に役立ったとした。
 一方、事例発表では井上貞廣・麗澤瑞浪高校長が「二十一世紀の私学改革」と、また武藤忠治・相洋中学・高校長が「コンピュータ導入の歴史」と題してそれぞれ自校の学校改革の現状などを報告した。この中で井上校長は公立教育に私学が引きずられている現状を指摘、自校のスタンスをはっきりさせ、建学の精神に基づく骨太の改革の必要性を力説した。
 また武藤校長はコンピュータ導入を中心に、教員にチャレンジする機会を提供、その際、他校の見学や研修の機会を与えること等の重要性を強調した。
(今後、詳報の予定)

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