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記事2001年5月3日 12号 (2面) 
高速回線で映像配信
未来型教育研究開発事業に私学80校参加
日私教研が地域センターに
授業でビデオ中継、デジタル教材活用
 政府の平成十二年度補正予算で文部科学省(旧文部省)と総務省(旧郵政省)合わせて三百三十一億円が計上された「次世代ITを活用した未来型教育研究開発事業」(文部科学省の施策名・総務省の施策名は「学校インターネットの情報通信技術に関する研究開発」)が本格実施に向け少しずつ動き始めている。研究期間は今年度から三年間。

 この事業は、ビデオなど大容量のデータをパソコン間で高速にやり取りできる光ファイバーやCATVなどの回線網を使い、リアルタイムでビデオ中継を配信したり、複数校に同時にデジタル教材を配信し、授業等に生かすほか、情報機器を使って自ら学ぶ力の育成や個に応じた教育の実践、学校と地域との連携、地域に開かれた学校づくりなど実験的な取り組みを行う。動く映像をパソコン間で高速にやり取りできることから、今まで以上に生き生きと教材提示ができるほか、遠く離れた学校間で互いの映像を見ながら共同作業を行うことなどもできる。
 今後、光ファイバーなどの高速回線が各家庭に普及すれば、各教科の授業を収録したビデオを、帰宅後に自宅のパソコンを通じて再度見て復習するといったことも可能となる。
 研究開発事業は、総務省の認可法人である通信・放送機構(本社=東京都港区芝)が担当する。全国六十カ所の地域ネットワークセンターにはそれぞれ数校から数十校の学校が参加、研究開発事業が進められる。各地域ネットワークセンターを東京・三鷹市の中央ネットワークセンターが統括する。十三年度からの研究開発事業に参加する学校数は全国で千五百二十校。公立学校が九五%を占めるものの、私立学校八十校も参加している。
 この事業は二年前の平成十一年度から「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」(同、総務省は「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」)として始まったもので、十二年度からは「マルチメディア活用学校間連携推進事業」(同、総務省は「学校における新たな高速アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」)として実施され、現在も継続されている。これら三つの事業の参加校総数は約四千校にものぼる。十三年度からの研究開発では、都内に三つの地域ネットワークセンターが設けられたが、そのうちの一つが八王子市の財団法人日本私学教育研究所(堀越克明理事長)。このグループは他と異なり、参加の三十一校すべてが私立の小・中・高校。
 四月十七日には東京・渋谷の渋谷教育学園渋谷中学高校でこの研究開発事業の事業説明会が行われた。同研究所の山路進主任研究員が参加校の担当者に事業概要を説明したが、まだ詳細が明らかになっていない事項も多く、質問が相次いだ。機器や回線敷設の詳細な仕様が未定で、学校側も学校内の既存の情報関係設備やネットワークとの関係などを尋ねる質問が多かった。
 今後は夏休み中に高速回線が敷設され、同じころ、学校設備(デスクトップ型、ノート型各パソコン一台と大型ディスプレイ等一台)が搬入され、据え付けなどが行われる見通し。十二月にはシステムの運用が開始され、実際、各学校がネットワーク等を使えるようになるのは来年一月ごろの予定で、未来型教育の研究が本格始動する。

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