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記事2001年5月23日 13号 (7面) 
新校長インタビュー (26) ―― 東京女学館中学校高等学校
校長 田甫 桂三氏
生徒の幸せが原点
個人の迫ヘ見極めて指導


 「すべて生徒のことを考えて、生徒が幸せになるように(教育活動を)やってほしい」
 田甫桂三校長の教育に対する原点はここにあるといっていい。学校や教師が(生徒のためと思って)行っていることを、生徒がどう思うかを考えて行動するということだ。
 東京女学館は明治二十一年創立され、「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」を教育目標に掲げている。
 「生徒に対して言っていることは、自分の行動に対しては責任を取るということ、もう一つは東京女学館で学んでいることに誇りを持ってほしいということだ。誇りを持つことは将来の人生にとってプラスになると思う。しかし、どのように誇りを持たせるかは非常に難しい」
 今年の新入生に入学記念として銀の校章をプレゼントした。その校章には生徒一人ひとりの番号がつけられており、いわば永久欠番というものだ。これも誇りを持たせることの一つの試みだ。
 「従来のエリートは学んだ知識を自分のために活用するが、ニューエリートは知識を社会に還元させ、集団のために活用することが重要となる」
 この方針の下に、生徒に対しては教師や生徒同士あいさつをするように呼び掛けている。
 田甫校長は教師の方にも注文をつける。
 「今までは知識を授けることが教師の仕事だったが、今後は生徒の個人の能力を見極めて指導することが教師にとってますます大切になってくる。小学校から高校までその生徒の個性を見極め、生き方を考える継続的な委員会を設置した」
 田甫校長はいわゆる進学校とは「すべての学校生活が進学というハードルを目指している学校」のこととし、「進学校では生徒は大学へ進学して目標を達成すると、何をしていいのか分からなくなる。そうではなく、自分にはどのような才能や能力があるのか、将来どのように生きるかをきちんと考えさせた上で、大学入試というハードルを越えることを考えなければならない」と言う。
 「高校卒業時までにそのことを十分に教育をすることができれば、私学は発展することができる」と自信を持つ。そのため、今年から進路指導部を充実させた。
 小学校の教師になりたかったという田甫校長は小学校長、鳴門教育大学名誉教授も兼任する。自らを自分の生き方を貫くタイプという。

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