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記事2001年5月23日 13号 (2面) 
高等教育システムの在り方討議
中教審の第一回大学分科会開く
“短大の方向づけを”島田臨時委員
分科会長に吉川氏、副分科会長に奥島氏
 中央教育審議会は五月十五日、東京・虎ノ門の霞が関東京会館で第一回大学分科会を開いた。分科会長に吉川弘之・独立行政法人産業技術総合研究所理事長を、副分科会長に奥島孝康・早稲田大学総長を選任。事務局(文部科学省)からこれまでの高等教育の改革状況について説明が行われた後、委員間での自由討議となった。
 同分科会は大学審議会の機能を引き継ぐ分科会として設置されており、四月十一日、町村信孝文科相(当時)が中教審に対して行った諮問事項のうち、(1)短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方(2)大学等の設置認可の望ましい在り方と今後の高等教育の全体規模(3)職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院等の整備の在り方について審議していくほか、今後の高等教育制度の在り方について幅広く検討していく。
 この日の分科会では「(国立大学の独立行政法人化問題や法科大学院構想など)個別の問題を後追いして審議するのではなく、高等教育システムを包括的に議論すべきではないか」(天野郁夫臨時委員)、「専門的な議論を専門的な場で煮詰めてきた結果と民主主義との整合性を図れるようにすべきだ」(猪口邦子臨時委員)といった、審議会の性格、位置づけそのものを問う議論から始まった。
 諮問事項には高等教育制度の在り方が挙がっているが、短期大学関係の委員からは「約五百の短期大学のかなりが難しい状況に置かれている。何らかの方向づけができるような議論ができれば」(島田{Y子臨時委員)、「大学と短期大学とをどこで明確化しようとしているのか。アンダーグラジュエートという概念のわが国独自の在り方を議論すべきでは」(関根秀和臨時委員)などの意見が出された。「ディグリー、ライセンス、サティフィケートがわが国では入り交じっている。現在のようにすべてをディグリーに結び付ける在り方でいいのか」(天野臨時委員)、「リベラル・プロフェッションということで言えば、大学が教育から手を離しているのが現状だ。司法試験対策を大学が抱え込むとなると、赤字でもやるという覚悟を決めるしかない」(奥島副分科会長)などと現在の高等教育システムの在り方を問う議論が行われた。

臨時委員に12氏が就任
中教審大学分科会

 中央教育審議会大学分科会の臨時委員に就任したメンバーは次の通り。
 ▽天野郁夫・国立学校財務センター研究部長
 ▽生駒俊明・日本テキサス・インスツルメンツ株式会社代表取締役社長
 ▽石弘光・一橋大学長▽猪口邦子・上智大学法学部教授
 ▽荻上紘一・東京都立大学長
 ▽黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長
 ▽島田{Y子・文京女子大学長・短期大学長
 ▽関根秀和・大阪女学院長・大阪女学院短期大学長
 ▽南雲光男・日本商業労働組合連合会長
 ▽西室泰三・株式会社東芝代表取締役会長
 ▽野中ともよ・ジャーナリスト
 ▽{M田道代・名古屋大学大学院法学研究科教授



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