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記事2001年5月23日 13号 (1面) 
中教審総会 教免更新制など討議
受け身的研修姿勢に批判も
 中央教育審議会(鳥居泰彦会長=慶應義塾長)は、五月九日、東京・虎ノ門の霞が関東京會舘で第五回総会を、同十八日には東京・市ヶ谷の私学会館で第六回総会を開催した。第五回では今後の教員免許制度のあり方について、第六回では今後の高等教育改革の推進方策について、それぞれ自由討議が行われた。
 分科会での本格審議を前に、総会で諮問事項に沿って自由討議を行い、委員の問題意識を出し合い、分科会での審議に繋げるもの。中教審では逐次、総会での意見を分科会に伝え、また分科会の審議の動向を総会に伝えることにしており、分科会間でも意見交換を行う方針。十八日の総会終了後には初めて分科会間の連絡調整会議が開かれた。
 このうち第五回総会は、小泉内閣が誕生して初めての総会だったため、遠山敦子・文部科学大臣が出席、委員を前に、「町村前文部科学大臣から諮問がなされている。前大臣、関連の皆様が引かれた路線をきっちりと守ると同時に、それをさらに前進させていきたい」との考えを示した。
 自由討議の中心となったのは、諮問事項にもある教員免許更新制で、一度免許を取ると生涯有効ということについては、問題視する委員が多く見られた。ただしどう透明性の高い評価制度をつくるかが課題で、一橋大学での学生評価、アメリカでの多面的な評価法なども紹介された。
 また教員の研修を受ける姿勢が受け身的になっている点を問題とする意見も複数聞かれて、「研修を受けないとそのまま仕事ができないようなことが必要だ」といった指摘も。このほか「問題教師の状況を公開すべきだ」といった意見や、「(免許更新制に関しては)現場の教員から、我々はそんなに信用がないのかと不満が出ている」といった意見も聞かれた。このほか免許制度の学校種を超えた総合化については、「教員の専門性がないがしろにされるのが心配」「中学校でうまくいかない教員を小学校に下ろすのでは」といった不安の声も上がった。
 一方、第六回総会では、専門大学院の充実、国立大学の独立行政法人化、官が公費を投入して担うべき分野は何かなどさまざまな角度から大学の活性化策等が討議された。
 大学分科会の吉川弘之分科会長はさまざまな課題を相互に関連付けて今後議論していく意向と、国立大学の独立行政法人化を非公務員型とすること等を含めて競争的な環境の中で今こそ大胆な大学改革が必要との考えを示した。

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