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全私学新聞

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記事2001年5月23日 13号 (1面) 
第16回全私学教育サロン開催 本紙主催
大学改革に新機軸
私大トップリーダーがシンポジウム
 全私学新聞運営委員会(浅田敏雄代表=生涯学習・大学人会議会長)は五月十七日、東京・世田谷の国士舘大学で「第十六回全私学教育サロン」を開催した。大学改革に目覚ましい活躍を見せている、五人の私立大学トップリーダーが教育改革の実践例と今後の経営戦略について話し、大学はもとより私学経営者に多くの示唆を与えた(近く詳報)。

私学の独創性発揮
21世紀見据えて新たな方向性

 「私学人サミット2001激震期における教育改革と経営戦略」と題して開いた第一部のシンポジウムでは、パネリストとして、川本八郎・立命館理事長、清成忠男・法政大学総長、小松隆二・東北公益文科大学長、島田{Y子・文京学園理事長、西原春夫・国士舘理事長が参加。
 川本氏は国立大学の模倣をやめ、私立大学の独自性を発揮することを旨として立命館大学の改革を進めてきたとし、断行する改革が大きければ大きいほどその波及効果も大きく、教職員の力も変革してくれると述べた。また真に世界に貢献する人材、世界から信頼される国民をつくるためにいま日本の高等教育が果たす役割の重大さを指摘した。清成氏は法政大学で四つのビジョンとキートレンドとを結び付けた新学部を設置したところ、従来とは異なった新たな学生層が入学し既存の学部にも改革ムードをもたらしたと述べた。今後は大学間競争のグローバル化が進むとの見通しを示し、日本の大学はこれにどう対応していくかが問われると強調した。小松氏は今春開学した東北公益文科大学の設立にかかわった経験から、地域に開かれ、地域とともにある大学、地域から評価され、支援される大学町づくりが重要だと指摘。教育研究の高度化と個性化はあらゆる大学に共通の責務だとも述べ、どんな大学でも地域一、日本一として誇るべきものがないと生き残りは難しいとした。島田氏は文京女子大学・短期大学で女子大学としての殻を破ろうと、社会人学生の積極的な取り込みや単位互換制度に基づく大学間教育交流に力を入れていることを明らかにした。また、一つの大学ですべての学問分野をカバーできる時代ではなくなったとし、大学間の連携・連合の必要性を指摘した。西原氏はいまこそ、私学の自由と個性を発揮すべき時だと強調。国士舘大学では従来のカリキュラムを打破した新構想の学部「21世紀アジア学部」の新設を計画中であるとした。
 第二部の講演では、俳優の沼田曜一氏が「語り継ぐ民話の心心の教育の原点」と題して話した。沼田氏は近年、日本の民話の“語り部”としての活動に力を入れている。「ひたすら懸命に生きてきた庶民の思いが込められたもの、次の世代の幸せを願う先人の思いが込められたもの」が民話だとし、学校の児童・生徒らに数多くの民話を語り伝えていきたいと述べた。

文教科学技術予算の拡充必要
振興計画策定で遠山文科相

 遠山敦子・文部科学大臣は、五月十八日、教育専門紙のインタビューに答えて、現在進行中の教育改革や社会的関心の高い学力低下問題、十八歳後の奉仕活動のあり方、新しいタイプの学校、今後、検討が予定されている教育振興基本計画などについての考えを明らかにした。
 このなかで教育振興基本計画については、教育基本法内に同計画の策定を提言した教育改革国民会議が教育への投資を増やすよう求めたことと、小泉内閣では財政再建路線を進めていることの折り合いについては、「難しい問題だが、これまで少な過ぎたものまで削ろうというのはどうか。国の将来を思ったら教育、文化、科学技術といった基本のところに投入しないでどうするのか、と思う」と述べ、教育振興基本計画の策定に当たっては、教育・科学技術関係予算の拡充が必要だとの考えを示した。(2面に遠山大臣インタビュー要旨)



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