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記事2001年4月3日 9号 (7面) 
新校長インタビュー (22) ―― 慶應義塾女子高等学校
校長 牛場 暁夫氏
自由、開発、創造基本に
ハワイの高校とテレビ会議


 慶應義塾女子高校(東京都港区)は昨年五十周年を迎えたこと、二〇〇三年度から新学習指導要領が始まることを踏まえ、教育課程を見直してきたが、このほど新しいカリキュラムの方針が決まった。
 牛場暁夫校長は同校がテーマとする「自由、開発、創造」を基本に、「社会性」「国際性」「科学的思考力」の三つのキーワードを挙げた。
 具体的な試みの中ではすでに取り組んでいるものもある。
 昨年十一月にはISDN回線を使って、ハワイのプナホウ・スクールと第一回目のテレビ会議を行った。「男女共学か女子校か」というテーマでディベート方式によって行われた。テレビ会議には帰国子女も加わり、生徒たちの自主的運営に任せた。このテレビ会議は高く評価され、慶應義塾長賞を受賞している。
 牛場校長は「二〇〇三年度をにらんでテレビ会議を英語の選択授業にするなどして、定着させようと考えています。テーマによっては社会問題を考えるきっかけになると思います」と力を入れている。
 二つ目は、二〇〇三年度から実施される予定の、三年生が大学の授業を聴講する制度だ。授業は例えば「演劇史」。
 「本校では毎年六月に生徒たちが熱心に取り組んでいる演劇会を開催しています。それで身近なテーマとして文学部の演劇史を選びました。生徒たちには良い刺激となると思いますし、大学ともいい交流をしていきたい」
 「演劇史」は社会、国語の選択科目あるいは、「総合的な学習の時間」に組み入れる予定だ。
 三つ目は「科学的思考力」養成のための準備が進められている。
 プロジェクターを各教室に配備した。これは大学などの実験をプロジェクターを通して各教室に紹介できるようにするもので、教科書以外から生きた知識を学ぶことで、「考える力」をつけさせることが狙いだ。
 また、一日中使うことができるコンピュータ室がある。図書館も土曜日を積極的に自習に利用できるようにと、CD―ROMやビデオ教材などをそろえる。
 「今は個人にしっかりしなさいというだけでは動きません。まず、共同体、組織をつくってあげて、助言をしてやると、生徒たちは連携しパワーを発揮します。これによって個性を見つけてくれるのではないか」
 牛場校長は大学では文学部の教授としてフランス文学を教える。福沢諭吉のいう、“進取の気風”を好む。

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