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記事2001年4月3日 9号 (4面) 
スポーツコーチサミット
国際競技力の向上
一貫指導システム構築が課題
文部科学省
 わが国の国際競技力の向上を図ろうと、文部科学省は三月二十六、二十七の両日、東京・虎ノ門の虎ノ門パストラルで平成十二年度スポーツコーチサミットを開いた。日本体育協会、日本オリンピック委員会などと共催。全国の中高・大学の教員やスポーツ団体の関係者、各都道府県のスポーツ行政担当者ら六百人が参加した。
 初日はスポーツコーチ国内サミットとして、ソフトボール女子日本代表の宇津木妙子監督が基調講演したほか、「世界で活躍できる競技者の組織的・計画的な育成・強化」をテーマに、シンポジウムが開かれた。
 監督としてさい配を振るった、シドニーオリンピックの総括と今後について話した宇津木氏は、指導者は自分の信念を貫いてリーダーシップを発揮すべきだとの考えに基づいて、大舞台で勝つための強い選手づくりに努めたが、決勝戦で負け、銀メダルに終わったのは自分のさい配ミスも一因だったと振り返った。この反省を踏まえ、次のアテネオリンピックを目指したチームづくりのためには、勝負がかかったときに集中力を高め、選手個々の個性を引き出す指導が課題だと述べた。
 シンポジウムでは、ジュニア期からいかにしてトップレベルの競技者を育成するかについて、宇津木氏、蒲生晴明・中部大学助教授(日本ハンドボール協会ナショナルトレーニングシステム運営委員長)、河野一郎・筑波大学教授が話し合った。
 司会は中教審委員の浅見俊雄・日本体育大学教授が務めた。浅見氏は昨年九月、文部省(当時)が公表した「スポーツ振興基本計画」の中で定められた、オリンピックでのメダル獲得率三・五%という目標を達成するには、一貫指導システムの構築が最重要課題だと問題提起。
 これを受けて蒲生氏は、ナショナルチームの強化のためには、若年層プレーヤーの発掘・指導・育成が不可欠で、そのためには地域においては住民と一体となって、若年層を底辺としたピラミッド型の総合型地域スポーツクラブをつくり、競技間を超えた連携を実践することが必要であると提言した。
 河野氏は育成・向上の時期には競技団体独自の一貫育成システムの機能発揮が重要だとし、最終到達目標となるトップレベルの競技者像が明確に描かれている必要があると指摘。また、国際競技の現場はアマチュアからプロの時代となり、ここでは情報戦略スタッフの果たす役割が決定的に重要になると述べた。
 宇津木氏は、世界を見据えた競技者を育成するための課題として、医科学スタッフのサポートや若い指導者の育成を挙げた。



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