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記事2001年4月23日 11号 (11面) 
人事処遇制度の改革
問題点と法律実務で研修
都教育振興会
 東京都私立学校教育振興会(加納弘理事長)は三月二十二日、東京・市ヶ谷のメヂカルフレンドビルで平成十二年度第二回経営者研修会を実施した。
 研修会は「学校法人における人事処遇制度改革の問題と法律実務」のテーマで、講師は弁護士の岩出誠氏(ロア・ユナイテッド法律事務所)。
 岩出氏は個別的人事管理における能力・成果主義、人事評価・考課における裁量と責任、年俸制をめぐる問題、能力・成果主義の下での賃金の引き下げ、昇進・昇格・降格、解雇と能力・成果主義、希望退職について、それぞれ判例の動向と実務的な注意点を解説した。
 いわゆる能力・成果主義とは日本型雇用制度・年功型賃金制度に代表されるような伝統的な人事制度に対抗する概念とし、このうち解雇との関係を説明した。
 裁判所は解雇一般については、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効になる」(最二小判昭和50・4・25)との法理を示している。解雇権の行使については、裁判所は(1)人員削減の経営上の必要性の存否(2)整理解雇回避努力義務の実行の有無(3)合理的な整理解雇基準の設定とその公正な適用の存否(4)労使間での協議義務の実行の存否の四点を判断要素とした。その上で、能力・成果主義の下ではこの法理の適用が緩和され、解雇の正当性が拡大する可能性があり、慎重な態度が必要だと指摘した。
 また、これについては、厚生労働省が発表した「有期労働契約の締結および更新・雇止めに関する指針」(平成十二年十二月二十八日)を紹介した。

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