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記事2001年4月23日 11号 (2面) 
13年度から5年間の科学技術基本計画を策定
研究、技術者養成が重要
研究者の流動性拡大
社会的課題に対応した研究開発の重点化
 政府は三月三十日、平成十三年度から五年間の科学技術基本計画を策定した。同計画では、優れた研究者や技術者の養成は科学技術システムの改革において重要な課題であるとし、大学・短期大学では科学技術の急速な進展に対応した教養教育の充実を図るべきだと指摘。また、大学院ではコースワークの重視による教育研究指導を行って、自立して研究開発活動を行うことができる能力の強化に取り組むべきだと求めている。
 第一期基本計画は八年度から十二年度の五年間の計画として八年七月に閣議決定。社会的・経済的ニーズに対応した研究開発の強力な推進と基礎研究の積極的な振興を基本的方向とし、これらを実現するために、新たな研究開発システムの構築、望ましい研究開発基盤の実現、科学技術に関する学習の振興など講ずべき施策を取りまとめた。これらを踏まえ、今回の基本計画では、重要政策として、(1)基礎研究の推進とともに、ライフサイエンス分野や情報通信分野といった国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化を進める(2)任期制の普及による研究者の流動性の拡大、産官学連携の強化、科学技術に関する教育の改革など、優れた成果が出る仕組みのために科学技術システムの改革を図る(3)科学技術活動の国際化の推進の三点を打ち出した。
 特に科学技術に関する教育改革については高校から大学院までその取り組みを求めている。高校では観察、実験、体験学習を重視した教育内容の充実を、大学院では連携大学院制度を活用して民間の優れた人材の起用や、新興分野での人材育成を目指した寄附講座の設置の促進、資源の重点的な配分によって国際的に優れた教育研究実績を期待できる拠点の整備などをそれぞれ進めるべきだとしている。大学・短期大学における専門教育では、基礎・基本を重視しつつ、学生が主体的に課題を探求し、解決するための基礎となる能力を育てるよう、教育方法の改善を求めている。
 また、研究者の流動性の拡大については、米国などにおけるテニュア制が研究開発環境の活性化の源になっているとし、任期制の定着を提言。このほか公募の普及や産官学間の人材交流の促進によって、多様なキャリア・パスを確保すべきだ、としている。
 産官学の連携については、公的研究機関から産業への技術移転を進めるため、連携のための組織的取り組みの強化も重要だと強調。特に、大学の共同研究センターは学部・学科の枠を越えた人材の配置などを行うことによって、その機能のより一層の向上を図るべきだとした。研究情報基盤の整備については、各種研究ネットワークおよび研究機関内のLANについて、新技術の導入による高度化・高速化を含めた計画的な整備を推進すべきだと求めている。

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