こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年4月23日号二ュース >> VIEW

記事2001年4月23日 11号 (2面) 
日米大学マルチメディア教育セミナー
ハーバード大学などでの開催報告書
ネットを活用した高等教育の実情探る
日米連携の手掛かり
 私立大学情報教育協会(戸高敏之会長=同志社大学工学部教授)は昨年十一月、「第一回日米大学マルチメディア教育セミナー」をハーバード大学ほかアメリカの大学で開催したが、このほどその成果が報告書として取りまとめられた。このセミナーはコンピュータ、ネットワークを活用した高等教育の実情を日米の大学間で情報交換しようと開かれ、私情協からは常務理事の白井克彦・早稲田大学副総長を団長に、十二の学系別情報教育研究委員会委員、井端正臣事務局長ら総勢四十三人の参加者が訪米した。
 セミナーは十一月一日から十一日間の日程で行われ、メーンセミナーの二日間はハーバード大学とマサチューセッツ工科大学を訪ねた。グループセミナーは三日間にわたって行われ、文科系二、工学系一、医歯薬系三の計六グループがそれぞれ分散して二、三の大学を訪問。その後はサブセミナーがスタンフォード大学で開かれた。
 報告書は、主にハーバード、マサチューセッツ工科、スタンフォードの三大学での全体セミナーを通じて、教育でのマルチメディア活用を考える際に基本的に認識しておかなければならない点として、九点挙げている。(1)対面授業の重視(2)教える授業ではなく、学ぶ授業である(3)成績評価は試験の結果ではなく、毎授業の理解度(4)学生には学ばせるための環境、教員にはカリキュラムの連携としてウェブサイトを活用(5)教材はインタラクティブであることが重要(6)E―ラーニング(オンライン学習)は対面授業の補完(7)教育支援体制が構築されている(8)マルチメディア教室は日本と同様、遠隔教室はマイクと自動追尾カメラが連動(9)大学間の連携は教室単位が理想的というものだ。
 九点目についてはハーバード大学で日本の大学との連携の問題点として、漢字などのコンピュータシステムの共通化、学期の開始時期、教育方法の差異などが指摘されたが、連携自体については大学院、学部レベルで個別に行うなら可能であるとの回答を得たとしている。その他の訪問大学からも好意的な対応で、白井団長は「協会が計画のサイバー・キャンパス・コンソーシアム(CCC)への参加に期待がもてる」と報告している。CCCはネットワーク上で大学間の連携を図ることによって授業の質を高めようという構想で、私情協が三月二十九日に開いた総会で、新規事業として準備を進めていくことが決定している。報告書ではこのほか学系別のグループが訪問した各大学の実情も詳細に報告している。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞