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記事2001年4月23日 11号 (1面) 
新生プランで文科相が見解
大学飛び入学万単位の規模も視野に
指導要領最低基準、上級学年教科書使用可
 町村信孝・文部科学大臣と教育専門紙記者との懇談会が四月十日、大臣室で行われた。懇談のテーマは今年一月に策定された「二十一世紀教育新生プラン」。この中で町村文科相は、現在、実施のための法案が国会に提出されている大学等への飛び入学の拡大について、「現在、二つの大学に(高校二年修了後)飛び入学する学生は毎年十人以下だ。これでは門戸が開かれたといってもあまりにも少なく話にならない。やっぱり何百人とか何千人の単位、あるいは万の単位でもいいのかもしれない。一ケタ、二ケタの数では新しい仕組みができたというには程遠い。それが幅広くなれば、高校一年修了時点でもいいだろうし、そうやっていけば中学二年修了時でもいいし、いつでもいいじゃないかとなる。そのように変わっていくことを期待している」と語り、飛び入学の拡大に関して万単位の規模も視野に入れていることを明らかにした。町村文相の発言要旨は次の通り。

 ■新学習指導要領と学力低下問題について
 (完全五日制実施で)授業時間数が減るので、それに見合う形で教育内容を少し圧縮する必要があった。それと同時にあまり細かい知識を断片的に記憶させるという教育を脱却させたいと思った。これからは独創的な人材、創造力のある人材が求められる。学習指導要領は最低限の基準としてすべての児童生徒に理解し身につけてもらう。そのために基本的な教科で二十人学級編成もできるようにしたし習熟度別クラス編成もできるようにした。同時に基礎・基本の上に立って先に進める子については、学習指導要領に縛られず、どんどん進んでいい。先に進める子については、現在、指導資料を作る方向で考えており、平成十四年度に間に合わせられればと思っている。特別の指導教材、副読本を作るのも一つの方法だが、教科書が一番いい教材と思えば、小学校三年生のあるクラスは四年生、五年生の教科書を使っていてもかまわない。あるいは二年生の教科書に戻ってじっくりもう一度基礎基本を身につけてもいい。三年生の授業では三年生の教科書しか使えない、ということはない。一つ年齢が上がると学年が一つ上がるということは悪平等だと思う。二十歳の中学生がいてもいいし、十歳の中学生がいてもいい。人と違うことがよくないという悪平等の意識をどれだけ取り払うことができるかがポイントだ。

 ■教員に対して
 (それぞれの子供たちの)伸びる部分を大いに伸ばす意識を持ってほしい。すべての分野で平均的に伸びていく子もいいと思うが、一芸に秀でて特に伸びていく子の芽を伸ばしてほしい。学校全体としては校長以下特色ある学校づくりに取り組んでほしい。これまでは違いがないことをもって良しとするところがあった。違いに着目して特色を出す。その特色に引かれて選び、選ばれることによって学校が保護者、地域からどう評価されているかはっきり見えてくる。

 ■私学助成・保護者の教育費負担格差について
 私学助成については財政事情が厳しいが、できる限り拡充していく。助成の仕方として、バウチャー制度のご提言があることも承知しているが、もう少し議論しなくてはいけない。私学に依存する部分は大変大きいので、私学の皆さんにも充実した教育ができるように環境整備に努力したい。

中教審の審議経過報告
短大議員連の活動状況も

 日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は四月二十五日、東京・飯田橋のホテルグランドパレスで平成十三年度春季定期総会を開く。総会では十三年度事業計画について協議するほか、中央教育審議会の審議動向や短期大学振興議員連盟の活動状況などについても協議を行う。また、日短協総会終了後、同じ会場で、短期大学基準協会(川並弘昭会長)が第十五回定期総会を開催する。
 中央教育審議会は今年一月、中央省庁再編の一環として従来の中教審を母体に他の六審議会の機能を整理・統合する形で発足。これまで大学審議会で審議されていた、今後の短期大学の在り方については新中教審の大学分科会で引き続き審議されることになった。だが、これまで同分科会は会合を開いていない。四月十一日に開かれた中教審第四回総会では町村信孝文科相から四項目の諮問が行われ、今後の高等教育改革推進方策が項目の一つに挙げられた。この中で短大・高専の位置づけについても審議することとされている。
 短期大学振興議員連盟は自由民主党の国会議員で構成されており、昨年十二月に発足。短大の振興方策を検討している。短期大学基準協会の総会では、同協会に設けられた「短期大学基準協会在り方検討委員会」の審議経過報告を中心に、十二年度の活動状況について報告。その後、十三年度事業計画の協議に移る。

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