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記事2001年4月23日 11号 (1面) 
教養教育 古典学習など具体策討議
中教審教育制度初中教育分科会が初会合
教員用図書館整備
学力低下問題、教免のあり方も検討
 中央教育審議会(鳥居泰彦会長=慶應義塾長)は四月十八日に第一回の教育制度分科会を、翌十九日には第一回の初等中等教育分科会を、それぞれ都内のホテル等で開催した。このうち教育制度分科会では新しい時代の教養教育について討議、古典学習や司書教諭の全校配置、教員用図書館の整備の必要性等が指摘された。一方、初等中等教育分科会では分科会内に教育課程と教員養成の二つの部会を設置、当面は教員免許制度について討議していくこと等を決めた。
 このうち教育制度分科会では、前期中教審が昨年十二月に公表した審議のまとめ「新しい時代における教養教育の在り方について」に沿って、教養教育のための具体策等を検討した。前期中教審では「教養教育の観点に立った教育改革の検証」「検証の上に立った具体策の検討」を次期中教審への“宿題”としていた。今後、同分科会はこの審議のまとめを肉付けした上で答申とする方針で、平成十四年度にも答申内容の具体化が図られる。また教育改革の検証等も行われる。
 この日の会合では「小・中・高校で古典に触れる機会の増加を」「読書を義務付ける仕組みが必要」といった意見や「情報化されいく社会の中で生活を見据えた議論が必要だ」との意見も聞かれた。古典学習や読書に関しては、「活字だけでは読まない。ビデオやインターネットを含め全体として考えるべきだ」「古典を読んでいくためのガイドが必要だ」「本を読むことが受験にプラスになる仕組みをつくるべきだ」といった意見が出された。一方、若者にとって身近な情報収集手段となっているものの、同時に様々な問題を抱えるインターネットの扱いについて議論の必要性を指摘する意見や、経済至上主義と教養教育の関わり、教員養成大学での情報教育の遅れ、学校現場での規範意識、倫理性に関する教育の検討・検証を指摘する声も上がった。そのほか司書教諭の全校配置、教員用図書館の整備・充実などの重要性が指摘された。次回は五月中旬、専門委員等を加え会合が開かれる。分科会長は鳥居泰彦・慶應義塾長。
 初等中等教育分科会では文部科学省から初等中等教育と教員免許制度の現況などが詳細に報告された。
 また設置された二部会ではそれぞれ数項目の検討を行う。教育課程部会では(1)新しい学習指導要領と児童生徒の現状(2)児童生徒の学習状況の評価が、教員養成部会では(1)教員免許制度の総合化・弾力化(2)免許更新制の可能性の検討(3)特別免許状の活用促進(4)課程認定審査基準等の改訂が当面の審議事項。文部科学省による現状報告の後は、社会的な関心を呼んでいる学力低下問題などが自由討議された。学力低下問題に関しては、文部科学省の低下なしとの見解に、「多くの人の心配に率直に耳を傾け、必要な改善の道を探ってはどうか」「各都道府県でのこの問題に関する取り組みが知りたい」「今の学力低下論は大学から見たもの。全員が大学進学するわけではない。到達度テストでの確認が必要だ」との意見が聞かれ、教員免許更新制の可能性の検討に関しては、「公務員制度の中で教員の身分を失わせることには、広範な議論が必要だ」と制度の難しさを指摘する意見も聞かれた。分科会長は木村孟・大学評価・学位授与機構長。五月九日の第五回総会では教員免許制度の在り方を討議する予定。

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