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記事2001年4月13日 10号 (5面) 
インタビュー 全専各連会長に抱負を聞く
全国専修学校各種学校総連合会会長 鎌谷 秀男氏
21世紀に飛躍 専門学校、高等専修学校
地位をより一層明確化 助成金の大幅拡充


 三月二十一日に開かれた全国専修学校各種学校総連合会臨時総会で、伊東兵次会長(学校法人伊東学園理事長)が任期半ばで勇退、新会長に鎌谷秀男・副会長兼会長代行(社団法人大阪府専修学校各種学校連合会会長、学校法人修成学園理事長)が選任された。本紙ではこのほど、大阪市西淀川区の修成建設専門学校に鎌谷会長を訪ね、就任の抱負と全専各連の課題、専修学校の振興などについて抱負をうかがった。

―会長ご就任にあたり、今後の抱負と重要課題をお聞かせください。

 鎌谷会長 昨秋、伊東前会長が体調を崩され、今年一月から私が会長代行を務めていた。会長となっても引き続き“伊東路線”を継承していく気持ちだ。任期は一年三カ月だが、決して腰掛けというつもりでなく、精いっぱい、全力を挙げて取り組んでいきたい。
 基本姿勢としては昨年十二月二十日に東京で開いた振興大会のテーマである「二十一世紀に飛躍する専修学校」を大きな目標としているが、当面の重要課題も同大会で決議された「専門学校・高等専修学校の地位のより一層の明確化」「専修学校への各種助成金の大幅な拡充」「専修学校への地方交付税(措置)の大幅な増額」「私学共済制度の公的年金一元化反対」という四つのスローガンを中心に考えている。

―その中でも、特に重視されていることは……。

 鎌谷会長 制度問題は特に重要だと考えている。政策要望としても将来、専修学校を「専門大学」として位置づけていくことも視野に入れながら政府に働き掛け、全専各連内部での議論や文部科学省との話し合いを重ねながら、いい方向へと進めていきたい。
 厚生労働省との関係では、同省所管の職業訓練大学校・短期大学校が高校新卒者の受け入れに当たって専修学校と競合する位置関係にあるが、この問題については昨年までに、文部・労働両省(当時)ご当局による政策協議を経て(相互尊重の方向で)決着をみたところだ。
 ちょうど、その話し合いがまとまったころに、政府の緊急雇用対策による失業者の職業訓練の委託実施が始まった。これについては積極的に協力する立場で引き受けたが、実際に多くの訓練生が再就職できたと聞いている。職業訓練大学校の役割を補完したことになるが、今年に入ってからの理事会でも、来賓としてお招きした厚生労働省の課長から「専修学校も(重要な職業訓練機関として)並列的に考えていく」とのお話をいただいた。我々が果たした役割について一定の理解、評価が得られたことに他ならないと思う。委託訓練は専修学校にとってあくまでも本体(正課)ではないが、本体を大事にしながら引き続き取り組みたい。

―専修学校志願者の傾向や、その対応については。

 鎌谷会長 何といっても少子化が大きな課題であり、それに伴う「十八歳人口」の減少傾向には対応せざるを得ないだろう。国際化にも関連して、海外からの留学生の受け入れにも力を入れる必要があるのではないだろうか。
 志願者の全般的な傾向としては、現役大学生や大卒者が、職業に役立つ技能・知識を身につけておきたいと考えて通うケースが従来にも増して多くなったようだ。教養と実務の両方で教育を受け、人間的にも実務面でもすぐれた人材が育つのは社会的に見て好ましいことであり、求人側の企業関係者から見ても、大学と専修学校の両方を出た人材を高く評価するのは当然のこと。学歴偏重の時代とは異なり、いよいよ世の中も「どこの学校を出たか」ではなく、社会人として「何ができるか」が大事になってきたのだと、ひしひしと感じている。

―このほかに、専修学校の課題としてお考えのことはありますか。

 鎌谷会長 最近、「分数の計算ができない大学生が多くなった」ということが話題になっている。基礎学力の低下は、専修学校の入学者にも同様のことがいえるので、今後は、基礎を改めて理解させるための教育についても考えていく必要がありそうだ。また、専修学校で実施する各種の検定制度について、中には受検者数が減っているものもある。なおいっそうの制度周知・実施案内に努める一方、実態を調査してニーズに合うように検定範囲の拡大を促すなど、対応が必要な面も出てくるだろう。
 法政大学エクステンション・カレッジでは、五月二十七日から六月七日までの十二日間、米国大学における情報教育の実態などを探る視察団の編成を企画している。米国の最先端のe―ラーニングの現場を訪問し、その企画から実際の取り組みまでを視察するほか、コンテンツ制作会社も複数訪問する。ツアーの最後には、米国教育産業の会議では最も歴史があり、世界の教育関係者が集う「ASTD2001」に参加する。ツアーに先立ち、五月十八日には東京・市ヶ谷の法政大学エクステンション・カレッジセミナー室で事前セミナーも開く。

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