こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年3月3日号二ュース >> VIEW

記事2001年3月3日 6号 (5面) 
ユニーク教育 (90) ―― 開星中学・高等学校
生涯学習セミナー
“感謝、思いやり、判断力”建学の精神に
地域住民と楽しい交流
 島根県松江市のJR松江駅から歩いて二十分の所に開星中学・高等学校(大多和聡宏校長)がある。約七万平方メートルあるキャンパスは、市内を一望できる緑に囲まれた閑静な高台に位置している。同校は「品性の向上をはかり、社会の発展に役立つ有望な人材を育成する」を建学の精神に掲げ、この実現に向け、さまざまな取り組みを行っている。
 この建学の精神には「ウォーム・ハート、感謝の気持ちを常に持ち、思いやりのある心を育てること、もう一つはクール・ヘッド、物事の本質、世の中の流れを見通すことができる冷静な判断力を磨くこと」(大多和校長)の意味が込められている。
 平成十二年度から授業週五日制を実施、授業は月曜から金曜までの平日に、課外行事は土曜に行っている。学力の低下を招かないようにと授業時間数を確保する(補習を除き週三十四時間)一方で、土曜日には学園祭など学校でしかできない行事や生涯学習活動を行っている。その中で、十二年度から始めた「土曜生涯学習セミナー」は特に充実している。
 このセミナーでは生徒は中高学年を問わず自由に講座を選択でき、また一般の人を受け入れ、生徒、父母、教員、地域住民の楽しい交流の場となっている。
 講師は同校の卒業生、父母、その道のプロ、大学の講師などが担当する。一回当たり二時間の講座は、年八回行われる。
 十二年度に実施された講座にはこんなものがある。「初級空手道」「ゴルフ入門」「ボウリング教室」「少林寺拳法」「一から始めるテニスレッスン」「箏曲」「楽しい押し花と編物」「伝承文学探訪(民話)」「陶芸」「点訳(点字)」「やさしい手話」「ピアノ個人レッスン」「生命の貯蓄体操」「園芸を楽しむ(ガーデニング)」「やさしいパソコン」の十五講座だ。
 例えば、「初級空手道」では日本体育協会の公認指導員が、武道精神に基づき心技体を鍛練することを目的に、礼儀、作法から始まり、基本練習として移動稽古、形、護身術、一本組み手などを教えた。「楽しい押し花と編物」ではNHK文化講座講師が指導に当たった。この講座では、押し花のしおり、コースター、キーホルダーなどの作成、押し花の乾燥の仕方、保存法など基礎実習、および指編みでマフラー、帽子、ベストを作成した。「伝承文学探訪(民話)」の講座では、民話の種類、わらべ歌「ええこと聞いた」の中の古代信仰、出雲の昔話「金の犬こ」など、山陰地方で収録した伝承文学を考察した。
 同校ではこのほかにも特色ある取り組みが行われている。五時限目と六時限目との間に十五分の「リフレッシュタイム」を設け、天候の良い日には心身の健康づくりのために校舎の周辺を散策し、雨の日にはクラスで読書などをする。
 また、環境教育の一環として、「地球規模で考えて、身近なところから活動する」(Think globally' Act locally)をテーマに、月一回「環境デー」、年三回「カントリーデー」を設け、学校や地域の環境美化、資源リサイクルのために清掃などのボランティア活動を行っている。
 校名「開星」の「開」は「手を加えて有用なものにする、教えて知恵を広くする」の意味、「星」は「重要な人物、時の流れ」の意味という。
 大多和巖理事長は「新時代を創造し切り開く力、これこそが二十一世紀を生きる生徒が中学高校で身につける内容だと思います。そして、輝く星のように存在感のある生徒になってほしい」と、生徒たちの成長に期待を寄せている。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞