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記事2001年3月3日 6号 (2面) 
新・教育基本法私案
PHP総合研究所のプロジェクトチームが発表
バウチャー制で教育費格差解消
学校間の競争促進
 PHP総合研究所のプロジェクトチーム(主査=加藤寛・千葉商科大学長)が、二月十九日、「新・教育基本法私案」を発表した。
 教育基本法の見直しを含め今後の教育のあり方を検討をしていた教育改革国民会議(総理の私的諮問機関)が昨年九月の中間報告では教育基本法の見直しについて具体的な方向性等を示さなかったことから、加藤学長のほか、石井威望・東京大学名誉教授、渡部昇一・上智大学教授、屋山太郎・政治評論家ら七人が検討し、まとめたもの。翌二十日には森総理と町村文部科学相に提出されている。
 私案は、第一条の教育の目的に関しては、「人間が潜在的な道徳的・知的能力を発揮させ、我が国の歴史・伝統・文化を正しく伝えることによって立派な日本人をつくること」と定義し、また第二条の教育目的の実現では、基礎的なしつけ・人間としての教育の実践は主として家庭にゆだねられるとして教育における家庭の位置付けを明確化している。さらに第四条の教育の義務では、義務教育の年限は定めず、一定水準の目標達成を親権者と子女に努力目標として課している。また義務教育等の授業料はバウチャー制度によるとしている。第五条の学校教育に関しては、「一定の要件を満たし、かつ教育内容を公開することによって、誰しもが自由に学校を設立する」ことを認めている。教員資格は各学校の資格試験で認定・取得することと定めている。
 バウチャー制度の導入に関して加藤主査は、「学校設立を自由化し、バウチャーで公私立学校の教育費(保護者負担額)の格差をなくすことで、公・私立学校が同じ条件で教育競争ができるようになる。教育競争の結果によっては、公立学校がなくなってもかまわない。大学の場合、他大学との単位互換協定が広がっているので大学がつぶれても学生に大きな影響はない」と考えている。またバウチャー制度導入で特段大きな財政負担は生じないとの見通しだ。このほか第九条の教育行政では、教育権は親権者と子女にあることを明文化している。
 現行の教育基本法については、占領下、貧しい時代の中で作られたもので、社会環境が大きく変化、時代の変化を反映したものにする必要があり、しかも現実問題として教育の実態は悪化しているとして抜本的な見直しを求めている。
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