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記事2001年3月23日 8号 (1面) 
分科会長に山本筑波大教授を選出
奉仕活動義務化で論議
中教審生涯学習分科会
 中央教育審議会(鳥居泰彦会長=慶應義塾塾長)の生涯学習分科会は三月十五日、東京・南青山のフロラシオン青山で第一回総会を開いた。分科会長に山本恒夫・筑波大学教育学系教授を、副分科会長に今井佐知子・日本PTA全国協議会長をそれぞれ選出。今後の生涯学習の推進方策を討議した。中教審の諮問予定事項の中でも焦点となっている奉仕活動の充実方策について委員の間で意見交換が行われたが、義務化の是非については意見が二分した。
 同分科会は従来の生涯学習審議会が再編されたもので、生涯学習の振興・機会の整備などについて話し合っていく。今後の議論では、他の省庁に関係する事項でも幅広く取り上げていくことが確認された。
 事務局から生涯学習の現状と文部科学省がこれまで進めてきた生涯学習に関する取り組みについて説明があり、その後自由討議に移った。自由討議では、満十八歳以上の奉仕活動の義務化が話題として取り上げられたが、義務化自体については「奉仕活動をしたい人がそれを選択できるシステム、仕組みづくりも必要だ」として義務化に賛意を示す意見と「時代に逆行している」「制度先行は望ましくない」として否定的な意見とに分かれた。
 複数の大学関係の委員は授業の中に採り入れているボランティア活動の取り組みを基に持論を展開。「学生はそれぞれの動機でボランティアをしているが、自己発見、仲間づくりなど、その成果の結びつきは多様だ。インセンティブをつけることが重要」「活動後のレポートでは学生の心の成長の跡が見られる。自分で意味を感じながら活動できる方向に持っていくべきで、いっせいに活動することには賛成できない」といった意見が出た。
 また、わが国の生涯学習の現状は多くが趣味的な活動にとどまっているとして、生涯学習体系の中に大学教育を位置づけ、職業人のキャリア形成に学位が有効に機能するような社会づくりが求められるとする提言もあった。
 次回の総会は四月中旬から下旬の間に開かれる予定。臨時委員は後日選任される。
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