こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年3月13日号二ュース >> VIEW

記事2001年3月13日 7号 (7面) 
緊急事態への対応
東京私学教育研究所で教職員研修
教職員に救命技能を
非常事態に備えて講習会
 東京私学教育研究所(堀一郎所長)は昨年十二月二日、東京・市ヶ谷の私学会館で保健体育、養護、学校安全担当などの教職員らを対象とした芸術体育系教科研究会(保健体育)「講習会」を開催した。この講習会は生徒に万が一事故が起こった場合を想定して、教職員が救助の手助けを行おうとする救命技能を身につけるためのもの。
 講師は東京消防庁麹町消防署の救急隊員が当たった。当日は五十人を超える参加者が教職員にとって必要な知識と救命技能を熱心に学んだ。
 講習会は講義と実技とに分かれ、隊員は講義の中で脳に三分間血液がいかなくなると脳は破壊されること、また救急隊員が事故現場に到着するまでに六分間掛かることなどを挙げ、「三分以内に人工呼吸と心臓マッサージをしなければならない」と現場での必要な知識を話した。
 また、精神的な面では普段から助ける気持ちを持っておくことが必要で、「他人を救うことは自分を救うことになるから、常日ごろからお互いに協力する気持ちが大切だ」と語った。
 救急手当については、救護する人は自分の身の安全、大出血の有無、嘔吐の有無、顔色、意識の有無、手足が曲がっていないかどうかなどを確認する作業が必要だとし、呼吸は成人で一分間に十六―十九回、脈拍は六十―九十回で、これを頭に入れておくようにとアドバイスがあった。
 実践では周囲の状況からみて、「危険なし、大出血なし、失禁なし、嘔吐なし、顔色蒼白、手足変形なし」などと、実際に講習者が叫んで、人形を相手に呼び掛けたり、口の中を確認したり、呼吸や脈拍の確認の仕方などについて研修した。

防災体験の研修会
マグニチュード7映像で体験、地震コーナーでも

 東京私学教育研究所は昨年十二月四日、東京・池袋の池袋都民防災センター(池袋防災館)で初任者「防災体験」研修会を開催、新任教職員、防災担当の教職員ら約六十人が参加した。この研修会は全体研修会(五月)、学校教育相談・生徒指導などについての宿泊研修会(八月)と並んで、同研究所が行う初任者研修会の一つ。当日、参加者は映画「マグニチュード7」(十七分間)をハイビジョンを通して映像で体験した後、二つの班に分かれて地震、煙、消火、救急の四つのコーナーで研修を積んだ。
 「地震コーナー」での体験は震度6以上の揺れの中でも正しい行動を身につけることを目的に行われるもの。四人一組になって、震度2から7までの揺れが続いている約四十秒間、座布団をかぶってドアを開けて避難を確保する、ガスの火を消して元せんを締める、などの一連の指定された行動をしなければならなかった。同館の担当者は家庭の場合を想定して、自分の体は自分で守ること、逃げる道をつくること、自分の家から火事を出さないことの基本的な三点を注意事項として挙げていた。
 「消火コーナー」では大型スクリーンに映し出される炎に向かって消火活動を行い、消火器の正しい使い方を練習した。
 参加者は生徒役と消火する役に交代で分かれて、生徒役が大きな声で「火事だ」と報告し、消火活動の態勢に入るという方法で、消火活動は一回につき約十六―十七秒間続けられた。
 「煙コーナー」では煙は天井から床に流れること、毎秒〇・五―一メートルの速度で進むという性質などを学び、煙から避難するときの要領を覚えるための体験をした。参加者は煙が充満している部屋を手探りで出口までたどりつく練習をした。出口までたどり着く時間が掛かり過ぎた班もあった。「救急コーナー」では応急手当の正しい方法を学んだ。まず(1)意識があるかどうか観察し、肩をたたきながら声を掛ける(2)口の中に食べ物などがあったら取り出し気道を確保する(3)顔を下げあごを上げる(4)人工呼吸などの基本的な応急手当の仕方を訓練した。
 体験が終了した後、酒井A・初任者研修運営委員長(東京女子学院中学高校長)から「今日の研修は貴重な体験です。機会があれば、生徒と一緒に体験してほしい」と参加した教職員にあいさつがあった。




記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞