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記事2001年3月13日 7号 (3面) 
独立行政法人教育研修センター
4月1日に筑波に設立
学校教職員の研修等実施
従来の事業をセンターに一元化
 省庁再編に伴う文部科学省関係の機構改革の一環として、独立行政法人教員研修センターが、四月一日、筑波に設立されることになった。独立行政法人教員研修センター法では「校長、教員その他学校教育関係職員に対する研修等を行うことにより、その資質の向上を図ることを目的とし」(第三条)「業務の範囲は(1)これらの学校教職員に対する研修を行うこと(2)都道府県等が行う学校教職員の研修に関し指導・助言援助を行うこと(3)それらに付帯する業務を行うこと」(第十条)と定めている。


 教員研修は文部省の時代から行われており、これら研修の中核的な施設としての役割を果たしていたのが、国立教育会館法に基づいて設置されていた国立教育会館本館(虎ノ門)、学校教育研修所(筑波)、社会教育研修所(上野)だった。新しい教員研修センターはこの中で教職員を主な対象として研修を行う長期宿泊研修施設である学校教育研修所の跡地に設立され、それまで文部科学省が直接実施していた教員研修事業を一括して同センターヘアウトソース(外部化)する形に一元化した。
 同センターが直接行う研修の内容は大別して二種ある。一つは「各県のリーダーに対する研修」で、小中高校の教員研修というのは基本的には都道府県が行うべきものだが、そこでの指導者となるリーダーの研修はセンターで行い、全国的な教育水準の向上や学校のさまざまな課題に関する全国的な共通理解を図るというものである。教職員等中央研修講座、教員海外派遣、養護教諭中央研修、学校栄養職員等研修などがそれに当たる。もう一つは「喫緊課題研修」といって全国的に緊急を要する研修の場合は、国がその研修を行うという趣旨のものである。教育情報化推進指導者養成研修、道徳教育連携・推進講座、エイズ教育研修などである。緊急の課題はその時々に応じて変化するので、廃止したり新設したりの見直しがしばしば行われることになろう。
 研修にはさまざまなものがあるので、それを主管する文部科学省内の局は多岐に分かれていたが、センターに一元化され実施される。どんなものがあるか元の主管局別に見てみよう。

 〔大臣官房〕大学職員等研修講座(人事関係)、会計事務研修
 〔初等中等教育局〕事務職員研修講座、道徳教育連携・推進講座、教職員派遣研修(理科教育)、環境教育等担当教員講習会、人権教育セミナー、進路指導講座、生徒指導総合研修講座、英語教育指導者講座、外国語指導助手に対する研修、「総合的な学習の時間」研修講座、外国人児童生徒等日本語指導講習会、教職員派遣研修(英語担当派遣)、教職員等中央研修講座、洋上研修、教員海外派遣、教育情報化推進指導者養成研修、教育情報リテラシー向上プロジェクト事業、高等学校産業教育実習助手講習、総合学科等新科目実技指導講座、新産業技術等指導者養成講習、先端技術体験プログラム、教職員派遣研修(産業教育)
 〔スポーツ・青少年局〕学校体育実技指導者中央講習会、養護教諭中央研修会、学校栄養職員等研修会、エイズ・薬物乱用防止教育研修会、学校安全教育指導者研修会、衛生管理研修会、健康教育指導者中央研修会、保健室相談活動研修会
 〔高等教育局〕留学生担当研修
 このほかに研修を衛星通信を活用して各都道府県研修センターに配信する衛星研修がある。教員研修センター設立後の本省の役割は「企画・立案」が主となり、それを「実施」するのは外部に出された独立行政法人の役割である。教員研修を例にとると、教員の資質向上や子どもの安全のためにあるべき研修の姿とは何かを考えて中期目標を立てるのは文部科学省であり、中期目標を受けて、その目的の達成のため具体的な中期計画をつくるのはセンターである。この中期計画は評価委員会の意見を聴き文部科学大臣から認可される。
 企画・立案側と実施する側とは緊密に連携をとる必要がある。文部科学省の部局のうち特にセンターと連携関係の強い部局では、センターとの間に人事の異動も今後予想される。
 研修を実施する場所として、筑波の教員研修センターは三百人規模の宿泊施設を持っているので、それに応じた宿泊研修の受け入れは可能だが、数多い研修をすべて実施することはできないので、それらの研修はオリンピック記念青少年センターなど外部の施設で実施していくこととなる。


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