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記事2001年3月13日 7号 (2面) 
就職戦線への取り組み
就職問題に関する研究協議会 私大協
問われる就職指導
国大独法化の影響で喜多村氏講演
 「超氷河期」は脱したものの、依然厳しい学生の就職状況が続く中、来年度就職戦線への取り組みについて考えようと、日本私立大学協会(大沼淳会長=文化女子大学理事長・学長)は二月二十七日、東京・市ヶ谷の私学会館で「就職問題に関する研究協議会」を開いた。会員校から約二百六十人の就職指導担当者らが参加。協議会では、私大協就職委員会の喜多信雄委員長(近畿大学就職部長)が今後の就職指導の取り組みについて発表したほか、喜多村和之・私学高等教育研究所主幹が、国立大学の独立行政法人化、大学評価が国立大学に与える影響について講演した。
 開会にあたって豊田耕作・就職委員会担当理事(千葉工業大学理事長)は、企業の終身雇用の崩壊、厳選採用の進行、学生の就職意識の変化などを指摘したうえで、景気回復の足取りが遅れていることもあり、従前にもまして熱心な就職指導を、と参加者に呼び掛けた。
 喜多氏は大学卒三年目の離職率が三三・六%と高いことを指摘。これは就職支援のミスマッチでもあり、大学の就職指導の責任が問われるとした。離転職をした場合、生涯賃金が低くなるといったデメリットがあり、フリーターはキャリアアップにつながらないなど、キャリア指導の見直しが必要だとした。学生のしっかりとした職業観の育成のためには低学年からの動機づけを行うべきだと強調。近大では、入学式直後に新入生向けの就職オリエンテーションを開催していると、取り組みを紹介した。
 新年度の就職戦線については依然早期化に歯止めが掛からず、さらに前倒しが進み、競争が激化すると予測。企業には「倫理憲章」を尊重し、秩序を守ろうという意識がない、と苦言を呈した。
 喜多村氏は、国の機関による私立大学への評価は、私学の独自性を奪い、画一化につながるとして、受ける必要がないし、受けるべきでない、と強調。どのように私学の独自性を生かした評価システムを構築するかが私高研の使命だと述べた。
 また、さまざまな評価機関やジャーナリズムなどによって大学ランキングが行われる「大学評価の時代」が到来したと指摘。日本の優れた高校生がインターネットでどこの国の大学が魅力的かを調べた時、どれほどの生徒が日本の大学を選ぶのかと問い掛けた。志願者から選ばれる大学であるために、大学の第一義の使命である教育の質を充実させ、学生の満足度を高める必要があると、教員の自覚を促した。


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