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記事2001年3月13日 7号 (1面) 
公立学校通学区域の規定削除
地方教育行政法改正案を国会提出
教委に保護者登用、委員会議公開 不適切教員を転職
文部科学省
 文部科学省が今国会に提出を予定していた教育改革関連六法案のうち、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」が二月二十七日、衆議院に提出された。この法案は、(1)保護者や地域住民の意向をより一層教育委員会に反映できるよう、教育委員会の委員構成や会議の公開、教育行政に関する相談体制の整備など教育委員会の活性化を促すとともに、(2)指導が不適切な教員の教職以外への転職を可能とし、(3)公立高校の通学区域の設定を教育委員会の判断にゆだねるためのもの。

 このうち教育委員会の活性化に関しては、教育委員の任命に当たり、年齢、性別、職業等の著しい偏りが生じないよう配慮するとともに、委員に保護者が含まれるよう努力規定を課している。また教育委員会の会議は原則公開ということを法律上明確にする。
 ただし人事に関する事件その他の事件について委員長または委員の発議で出席委員の三分の二以上の多数で議決したときは、非公開とすることもできる。
 さらに教育行政に関する地域住民の意見に一層的確に対応していく観点から、担当職員を指定することで相談窓口を明示し、教育委員会の職務権限に所管事務に係る教育行政に関する相談を加える。
 このほか県費負担教職員の人事について、校長の意見をより一層反映できるよう、市町村教育委員会が都道府県教育委員会に内申を行う場合、校長からの意見の申し出があれば、その意見も添えることにする。
 指導が不適切な教員の転職に関しては、都道府県教育委員会が、市町村の県費負担教職員で(1)児童、生徒に対する指導が不適切で、しかも(2)研修等必要な措置が講じられてもなお指導を適切に行えない者(分限免職、分限休職該当者を除く)を免職したうえで、引き続き当該都道府県の教員以外の職に採用することができる規定を定める。またこの転職規定に該当するか判断するための手続きに関して必要な事項を教育委員会規則に定める。
 ところで公立学校教員の懲戒処分・分限処分に関しては、平成十一年度で二千三十八人が懲戒処分を受け、これに訓告等・諭旨免職を加えるとその数は四千九百三十六人に上る。前年度と比べると倍近い急増状態だ。このほか監督責任による処分等が七百八十一人に上る。また十一年度の分限処分者は四千五百二十人でその大半が病気休職となっている。さらに十一年度中に新規採用となった教諭等のうち、条件付採用期間中に免職・退職となった者は五十一人を数える。
 公立高校の通学区域に係る規定の削除は、規制緩和を進める観点から、当該高校を所管する教育委員会の判断にゆだねることとした。通学区域の弾力化に関しては、昨年十二月、政府の規制改革委員会が小・中学校と同様、高校でも教育の個性化・多様化を進める上で極めて重要として、同法の見直しなどを求めていた。
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