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記事2001年2月3日 3号 (8面) 
ユニーク教育 (88) ―― 秋田経済法科大学附属高等学校
国際的視野で人間育成
「日中友好世々代々」 スローガンに
同世代の交流で多くを学ぶ


 秋田市の自然に恵まれた環境に立地する秋田経済法科大学附属高等学校(湯川敬治校長)。「努力は人をつくる」「熱と闘志で最善を行く」の校是の下に、(1)個々の特性と能力の伸長を目指したコース制(2)豊かで明るい日常生活を築き、その中で自らを鍛える課外活動の推奨と充実(3)カナダ・中国の同世代の青少年との交流により、国際的視野に立って社会生活を送ることができる人間の育成の三つの教育方針に基いた教育を同校は行っている。
 特に中国研修は昭和五十六年に第一回「中国研修の船」を開始(七百五十六人参加)し、歴史は古い。第二十回「中国研修の翼」も「日中友好世々代々」をスローガンに、高校二年生、三百二十九人が参加し、平成十二年十月十二日から十七日まで実施された。
 「自分の目で見たり、聞いたり、味わったりできたことは、私にとって大きな財産になったと思う。もっと、日本のことを知って、それを伝えられるよう、自分の国のことも勉強したい。学んだことを糧に大きな人間になれるよう努力したいと思う」
 研修後、参加した生徒が語った感想だ。
 第一回から第十七回までは十泊十一日で往復が船旅、十八回目から二十回までは“翼”(飛行機)となった。
 第十七回までの研修は、船内での生活から始まった。中国語講座、見学地についての学習、現地での交歓会の練習などが行われた。研修はクラス別、さらに各班別に分かれ、学習していたテーマについて発表する。例えば、「中国の文化」というテーマを考えたクラスでは班ごとに、「中国の名産品」「中国の食べ物」「中国の歴史」などを、また「中国の生活を知る」というテーマを考えたクラスでは、各班が「中国の焼物(陶器)」「中国の交通事情」「万里の長城」などについて発表した。
 高橋護教頭は「船内での研修は、毎日が規則正しいものでした」と振り返る。
 一方、“翼”で行われるようになってからの研修では、事前学習に一層力を入れた。
 昨年行われた研修で訪問した学校は、「天津第一中学校」「南開中学校」「天津外国語学院付属学校」「公用事業専門学校」の四校。各クラスごとに分かれてそれぞれの学校を訪問した。交流会では生徒たちは数十人に囲まれ質問攻めに合う。英語と漢字を使っての会話のやり取りだ。ここでは生徒は「中国の生徒たちは皆非常に真面目で何事にも一生懸命だということ、勉強も頑張っていること」(生徒感想)が分かる。
 訪問中には故宮博物院、天安門広場、万里の長城などを見学、また人民大会堂を表敬訪問し、歓迎晩餐会に招待された。
 中国研修のもつ意義は大きい。(1)日本文化の源を訪ね、机上の学問を自らの皮膚で感じ、自分の目で確かめる(2)国家体制や社会形態の違いを超え、学ぶべき多くのことがあること(3)感受性豊かな時期に体験することで精神的に成長すること(4)隣国人として相互理解を深めることに意義があること(5)自主性の育成同校では中国研修の意義をこのように位置付けている。
 生徒たちにとっては、この中国研修は想像以上に印象深かったようだ。こんな感想文をまとめている。
 「これからの生活や将来に何かの形で生かしていけたらと思う。クラスの皆との友情も更に深めることができ、私にとっては素晴らしい思い出の一ページとなった」「僕にとってこの研修は今まで生きてきた中で一番価値あるものであり、これから生きていく上で大切な経験となるだろう」


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