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記事2001年2月3日 3号 (2面) 
大学評価・学位授与機構による第三者評価
私大の評価に否定的意見
私大連盟学長会議
 「第三者評価は教育研究・経営とどうかかわるか」をテーマに、日本私立大学連盟(鳥居泰彦会長=慶應義塾大学長)は一月十八日、東京・市ヶ谷の私学会館で「平成十二年度第二回学長会議」を開催した。
 シンポジストとして、木村孟・大学評価・学位授与機構長、小野田武・三菱化学株式会社顧問、小口泰平・前芝浦工業大学長の三氏が討議。このうち、木村、小野田両氏とも大学評価・学位授与機構が将来的に私立大学に対する第三者評価を行うことにはそろって否定的な見解を示した。
 木村氏は現在、国立大学だけを評価対象としている同機構がやがて私立大学も評価対象に活動していく可能性について、「いまの状況では私立大学の第三者評価を行うことは難しい。独自の機関創設が一つの可能性ではないか」とした。同機構の大学評価委員会委員を務める小野田氏も「質量ともに困難だ。国立大学九十九校を行うだけでも相当厳しい」と、私立大学を評価対象に含めることには否定的な見方を示した。
 この点に関連して、小口氏は私立大学の理念・目標の達成に向けたさまざまな活動を支え、かつ発展させるため、経営面を中心とした評価基準を主な対象として、連盟独自の評価システムの検討を始めるべきではないか、と問題提起した。
 日本における第三者評価の意義・在り方についても三氏が持論を展開した。木村氏は大学評価・学位授与機構の評価事業は、いわゆる「同僚による評価(ピア・レビュー)」であり、評価結果は経費配分の参考とはするが直接には結び付けないとしているものの、各ファンディングエージェンシーが評価の結果を参考にすることは必定だと指摘。日本の大学の教育・研究の質の向上、タックスペイヤーへのアカウンタビリティーの必要性から「評価」は避けて通れないと述べた。
 小野田氏は現在の自己点検・評価は自分たちができることしかやっていない、と取り組む姿勢の甘さを批判。第三者評価は教育研究改善システムP・D・C・A(計画・実行・評価・目標)サイクルのスパイラルアップを図るのが目的であり、その全段階を社会に開くべきだと述べた。
 小口氏は私立大学の第三者評価に当たっては、その組織、特に法人部門と教学部門との関連が多様であるため、評価基準の設定は容易ではない、としつつも、(1)理念と目的(2)意思決定システム(3)執行体制(4)財務(5)人事(6)施設・設備の六つの分野で経営にかかわりのある評価基準項目を提示した。
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