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記事2001年2月3日 3号 (1面) 
教育改革関連6法案国会へ 「21世紀教育新生プラン」発表 文部科学省
教育基本法、免許更新制、振興基本計画など中教審で検討2月1日に初会合
20人授業の実施
私学の設置促進へ小・中学設置基準策定も
 文部科学省は一月二十五日、昨年末に森総理に提出された教育改革国民会議最終報告の提言を踏まえ、今後の教育改革の主要施策や課題、実施計画等をまとめた「二十一世紀教育新生プラン」を発表した。(3面に全文)

 新生プランは、「学校、家庭、地域の新生学校が良くなる、教育が変わる」を標語に、緊急に対応すべき事項に関しては、一月三十一日から始まる通常国会に教育改革関連法案(学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正案など六法案=2面に詳報)を提出、また予算面では教育改革関連予算を平成十三年度政府予算案で措置したとしている。
 一方、今後、検討が必要な教育基本法の見直し、教育振興基本計画の策定等については、中央教育審議会にそのあり方などを諮問する。中教審は二月一日に初会合を開いた。初会合では会長に鳥居泰彦・慶應義塾長を選んだほか、町村文部科学相を交えてフリートーキングで新生プランや教育改革関連法案などについて意見交換を行った。(次号で詳報)
 また満十八歳過ぎの青年が一定期間奉仕活動を行えるような社会的仕組みづくりに関しては、関係省庁と協力しつつ中教審で検討し、十三年度中を目途に取りまとめる方針。奉仕活動を全員が行うことに関しては、与党内で異論もあり、難しい問題が残されている。
 新生プランでは、(1)わかる授業で基礎学力の向上(2)多様な奉仕・体験活動で心豊かな日本人の育成(3)楽しく安心できる学習環境の整備(4)父母や地域に信頼される学校づくり(5)教える「プロ」としての教師の育成(6)世界水準の大学づくりの推進(7)新世紀にふさわしい教育理念の確立、教育基盤の整備の七項目を、重点戦略と位置付けている。
 このうち、(1)に関しては、基礎的教科での二十人授業、習熟度別授業の実現、全国学力調査の実施等を行う。少人数教育に関しては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の改正を行い、また十三年度から第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(五年間)をスタートさせ、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準にまで引き下げる(平成十七年で小学校一八・六人、中学校一四・六人)。
 学力低下については、文部科学省としては、学力の低下は見られないが、数学や理科に関して学習意欲の低下は見られるとの認識。また学習指導要領は最低基準との認識から、特別に必要な場合は、学習指導要領を超えた内容の授業あるいは反対に補充的な指導も可能としている。ただし入試に関しては、学習指導要領の範囲外からの出題は認めない方針だ。
 (2)に関しては家庭・地域の教育力再生のための取り組みなどを行う。具体的には「社会教育法」を改正し、家庭の教育力充実に向けた社会教育行政の体制整備を行うほか、教育休暇制度の導入などを経済団体等に働きかける。
 また「教育の日」制度などにより、地域における教育の取り組み推進を地方自治体等へ働きかける。
 (3)では、問題を起こす子どもに対する適切な措置(出席停止の改善及び子どもに対する支援措置)、有害情報等から子どもを守る取り組みなどを行う。このうち問題を起こす子供への対応に関しては、「学校教育法」の改正を行い、出席停止制度について要件の明確化を図るとともに、出席停止中の児童生徒への支援措置を定める。
 (4)に関しては、教育委員会の活性化、地域の主体性を生かした新しいタイプの学校の促進などを、(5)では、優秀な教員の表彰制度と特別昇給の実施、教員の社会体験研修の制度化(民間企業等で社会性を磨く)、不適格教員への厳格な対応(教壇に立たせない)、(6)では、大学への十七歳入学の拡大、大学三年修了からの大学院入学の一般化、大学の競争的環境の整備などを行う。(7)は教育基本法等の検討。
 このうち新しいタイプの学校の設置促進に関しては、私立学校設置促進のため、平成十三年度中に小・中学校設置基準を策定する。コミュニティスクールを含め新しいタイプの学校の可能性については、小・中学校の設置基準の策定と合わせて検討することにしている。
 また(5)に関しては、優秀教員に対する表彰制度を平成十四年度をめどに実施するほか、免許更新制の可能性の検討を教員免許制度の在り方とあわせて中教審で検討し、十三年度中をめどに結論をとりまとめることにしている。
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