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記事2001年2月23日 5号 (7面) 
新校長インタビュー (18) ―― 早稲田大学系属早稲田実業学校
校長 渡邉 重範氏
心の原風景を大切に
志持って考え、選択して責任を


 「今までは個を集団の中に埋没させる教育が行われてきましたが、今後は生徒一人ひとりの持つさまざまな個性“心の原風景”を大切にする教育をしなければなりません」
 こう話すのは早稲田大学系属早稲田実業学校(東京都新宿区)の渡邉重範校長だ。
 そのために「志を持って、自分で考え、自分で選択して、(その結果に対して)責任を持つ」こと、「知識偏重に対して、“論”を重視する」ことを生徒によく話している。
 この“論”を大切にすることの必要性については、「どんなことに遭遇しても冷静に、公正に、バランス感覚をもって多方面から考えることのできることが、独創性と構想力の養成につながるから」と説明する。
 「知識は増え、情報は大量に入ってくる時代になり、それにともなって生活の知恵がなくなりました。生活の知恵がなくなると、文化が衰退します。実生活の身の周りの中に、生活の知恵を考える上で重要なことがたくさんあります。生活の知恵が生きる力の養成に役立つと思います」
 「現在では例えば、今からでは早すぎる、あるいは、今さら遅すぎる、という二つの極端な考え方になりがちですが、実はこの中間の考え方が一番重要だと思うのです。平凡であるが、根を張った(学校)生活に結びつくような教育を実践しようと思っています」と持論を述べる。
 渡邉校長が生徒たちに奨励していることは、「背筋を伸ばすことと、あいさつをすること」のほかに、クラブ活動や行事参加などを一生懸命にやることだ。
 同校は創立時から「去華就実」(実業の精神を育て、社会に貢献できる人格を形成)を校是とし、「三敬主義」(他を敬し、己を敬し、事物を敬す)を校訓とする。今年は創立百周年を迎える。その記念事業の一環として四月から国分寺の新校舎に移転する。さらに平成十四年からは共学校としてスタートし、初等部も開校することも決まっている。
 五万四千二百五十七平方メートルの広大な敷地と豊かな緑に囲まれ、最新の施設・設備を誇る理想的な教育環境が実現し、新キャンパスで、生徒一人ひとりの新しい早実・ドラマを創造する。
 「今後は理系と文系の両方の発想を持つ人材が求められます。本校では発想の転換のできる生徒を育成し、さまざまな摩擦を乗り越えられる、危機に強い人間を育てていきたいと思います」と、渡邉校長は同校ならではの教育を目指す。
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