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記事2001年2月23日 5号 (6面) 
ユニーク教育 (89) ―― 京都学園高等学校
主体的に考え行動する人材育成
日本人らしい日本人
世界的視野が基本に


 京都学園高等学校(眞木意令校長、京都市)の前身である京都商業学校の創立者、辻本光楠氏は十五歳の時、海外雄飛の志を抱いてアメリカに渡った。苦学をしながら目に映る当時の在米日本人の生き方に疑問を持ち、あるべき日本人の姿について反省を迫ったという。
 辻本氏の言う「日本人らしい日本人の育成」の言葉は当時の熱い思いに由来している。
 この精神は「世界的視野で主体的に考え行動する人材の育成」という建学の精神に受け継がれ、国際交流の基本的考えになっている。
 「日本文化への深い理解と幅広い国際感覚を備え、豊かな想像力と思いやりの精神をもって、地域・日本・世界に貢献できる人間形成に努めている」(眞木校長)。
 同校では国際、特進ADVANCED、特進BASIC、普通の四コースを設置している。
 国際コースは海外留学の豊かな経験を生かし、国際社会で活躍できる人材の育成を目指している。二年生は九月から七カ月にわたって、イギリスのイースト・サセックス州にあるパーク・カレッジで集中的な英語研修を受ける。毎年三十人ほどがホームステイをする。
 ほかの三コースでは、海外研修旅行が実施されている。二年生の秋、六泊八日でアメリカのカリフォルニア、サンフランシスコヘの旅行は三年間を通して最大のイベントになっている。参加する三百数十人は四泊五日でホームステイを行う。アメリカの高校を訪問し、各教科担当者のいる教室で授業を受ける。
 また同校では短期あるいは長期の留学生を受け入れている。短期留学生は毎年、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカから受け入れている。同校の生徒にとっては留学生との交流を通して異文化を体験すると同時に日本の文化・ものの考え方、生活について改めて見直す絶好の機会となっている。
 昨年十一月二日から十五日までは、初めてアジアから留学生を受け入れた。タイのウイタヤライスクールの生徒が二十人と教員二人が来日、留学生は日本語の勉強、京都の名所観光、英語や数学の授業を受けた。また日本の文化の一端に触れるために、書道にも挑戦してみた。
 「従来、アジアとの交流がなかったのが不思議でした。タイの留学生を受け入れて感じたのは、日本人が失ってしまったものを持っているということです。今後はアジアも視野に入れて留学生を受け入れていきたい」(末友康允教頭)
 多様な留学制度のほかに、オーストラリア国立大学への推薦入学制度が充実している。受け入れ大学はマッコーリー大学、クィーンズランド大学、オーストラリアンカソリック大学(予定)、ニューカッスル大学(予定)などだ。
 同学園では昨年の四月から長年の夢だった中学校を開校し、四十五人の中学生が入学した。
 どのような中学校を目指すのか。
 「国際理解と情報を教育的手段に『楽しくなければ学校ではない。面白くなければ授業ではない』をモットーにしている。未来からの留学生である生徒たちに『生きる力』を身につけさせたい」(上津教頭)
 生徒一人にノートパソコンを一台を持たせているが、機械人間にはしたくないので、自然に対する畏敬の念を持たせる意味で、畑にトマト、かぼちゃ、トウモロコシ、ねぎ、白菜などを作らせ、全人格的な成長を目指している。


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