こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2001年2月23日号二ュース >> VIEW

記事2001年2月23日 5号 (3面) 
この人に聞く
公明党文部科学部会長 西 博義 氏 衆議院議員
私学には積極的支援必要
教育基本法見直しは慎重に 振興計画とは分離して検討を


 昨年末の教育改革国民会議最終報告、今年に入って二十一世紀教育新生プラン、教育改革関連法案と急ピッチで教育改革が進行中だ。与党・公明党は一連の改革、今後の教育のあり方をどう考えているのか――西博義・文部科学部会長(衆議院議員)に伺った。
 昨年十二月の教育改革国民会議の最終報告については、どんな感想をお持ちですか。
 部会長 基本的な方向としては私共も共感する内容が多い。戦後五十年を過ぎ教育が曲がり角に来ていることは間違いない。それをどう変えていくかで、タイミングといい、内容といい、ほぼ評価できる。
 今年になって「二十一世紀教育新生プラン」が発表され、今後、教育改革関連法案が国会に提出される予定ですが、これらについてはどうお考えですか。
 部会長 新生プランは教育改革国民会議の報告を受け、文部科学省が教育改革の具体化スケジュールを示したものだ。教育基本法など先の分からないものもあるが、それ以外のものは取り組みとしては非常に明確になった。文部科学省の前向きな姿勢がうかがえる。
 新しい中教審へ期待することは何ですか。
 部会長 この教育改革に文部科学省としてはどう取り組むのかの根本を整理してほしい。教育基本法をはじめとして骨太な議論があって、それにどう枝葉を付けていくかだ。継続的に慎重に冷静にやってほしい。
 公明党は教育基本法の見直しについては慎重な姿勢ですが。
 部会長 我々は憲法改正に匹敵するくらいの位置付けとの認識を持っている。ただし教育基本法の改正ですぐに教育がすべて良くなるものでもない。中教審は永続して設置される機関なので、任期にこだわることはないと思う。憲法調査会も国会での議論が始まったが、慎重かつ奥深い議論を行っている。それに近い形の議論が必要だ。
 公明党は若者との対話を定期的に行っていますが、どういう経緯で始まったのですか。
 部会長 教育改革国民会議で議論した人たちは、日本を代表する有識者だが、若い人が少なく、現場の先生方が発言する場がなかった。そんな委員構成だったので、ぜひとも教育を受ける立場の人たち、教育を受けて直後の人たちの意見を聞く必要があると考えた。幸いにして実に熱心な議論が続いている。全国で十会場以上で行う予定だ。
 これまでに六回の会合が終わり特に印象に残っていることはありますか。
 部会長 よし悪しは別にして先生の影響力がすごい大きい。先生によって辛い傷を負ったという意見も多いし、先生によって立ち直ったという意見もあった。
 先月、森総理のところに教育改革案(第一次)を持っていかれましたね。
 部会長 まだ初期の段階で三日間、東京、大阪、神奈川で開いて気付いたことをまとめたものだ。発言者の中に働きながら夜に大学に通う学生がいた。生活や思いを切々と話してくれた。彼は、昼夜開講制が出来て二部の授業料が昼間の授業料に近づいてきた、二部の良さを残してほしい、といことだった。そんなことから提案に盛り込んだ。三月末まで行って第二次の提案を出す予定だ。
 私学助成、私学振興についてのお考えは。
 部会長 十三年度予算編成でも私たちは一つの重点として取り上げた。去年から私立の小・中学校を増やしていく環境づくりの提案をした。コミュニティ・スクールといった公設民営の学校についても積極的に取り組むべきだ。既存の私学に対しても積極的に支援していく。
 私立小・中学校を増やしていくには設置基準の明確化と同時に、財政的な支援が不可欠ですが。
 部会長 学ぶ人の立場から言うと、公私の教育費の格差を少なくしていく政策的な問題は残っている。
 教育基本法の中で教育振興基本計画が策定される予定ですね。
 部会長 教育基本法を変えないと振興基本計画が出来ないということではないと思う。国民のだれしもが教育が大事で、そのためにはきちんとした予算措置が必要だ、と思っている。それに応えるために振興基本計画が必要だということは当然のこと。
 私立学校についてはどんな風にご覧になっていますか。
 部会長 少子化の中で緊張して学校運営をしている。そこに私立学校の今の質が保たれている理由があると思う。それが良い結果を生んでいる。優秀な人材を出さなくてはだめだと考えている。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞