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記事2001年2月13日 4号 (1面) 
21世紀教育新生プラン 教育改革関連法案中心に
飛び入学など討議 分科会分属も決まる
満18歳後奉仕活動など諮問へ
中教審が初の総会 今後の教育で自由討議
 省庁再編によって新しく誕生した第一期中央教育審議会の第一回総会が、二月一日、東京都内の会館で開かれ、会長に鳥居泰彦・慶應義塾長を、副会長に木村孟・大学評価・学位授与機構長、茂木友三郎・キッコーマン(株)代表取締役社長を選出するとともに、文部科学省が先月策定した「二十一世紀教育新生プラン」と今国会に提出を予定している教育改革関連法案を含めて今後の日本の教育のあり方について自由討議した。中教審は二月末にもう一度自由討議を行い、それ以降に町村信孝文部科学相から諮問が行われる予定。
 総会では、教育改革国民会議報告や教育新生プランで「奉仕活動」との用語を使ったことをめぐってさまざまな意見が出されたほか、これまで物理や数学の分野に限って、受け入れる大学についても大学院博士課程を有するなどの限定要件を緩和し、大学以外にも進学先を拡大する法案の提出を用意していることに対する意見、今後の教育に関しては、教育の現場から社会へ積極的に発信する重要性、今後のビジョンの明示、教育問題を日本のあり方を議論する中に位置付けること、能力に応じた教育の必要性、公と個の関係などに関する意見が出された。このうち奉仕活動に関しては、年代等によって奉仕という言葉への思いが異なること、若者にも受け入れられやすい仕組み(インセンティブを与える)を作るべきだとの意見が出された。
 また高校から大学への飛び入学に関しては分野限定をなくし、これまで大学院博士課程を有する大学に限られていた受け入れ校を大学のみから短大、高専、専修学校に拡大することについては、「高校教育に与える影響が心配だ。歯止めがきかなくなる。このままで行けば例外措置とのはんちゅうを逸脱する」といった意見が出された。これに対して木村副会長は「規制をはずした時に悪用される恐れもあるが、私個人はそこまで行かないといけないと思う。後は国民の選択だ」と語り、また文部科学省は、教育上適切な指導体制を有することを条件に受け入れる大学等については、自己点検評価の公表を義務づけ、受け入れ状況を高校側が把握できるようにすることを明らかにするとともに、どういう大学等で受け入れたらいいかは文部科学大臣が別に定め、受け入れたら責任を持ってとの思いはこれまでと変わっていないことを強調した。この問題で町村文科相は、「十歳の大学生がいてもいいし、二十歳の中学生がいてもいい。年齢で学年が変わることは行き過ぎた平等だ。そのワンステップとして十七歳の問題を考えた」と語った。中教審に対してまだ諮問は行われていないが、文科相は諮問したら一年以内に結論を出してほしいとしたうえで、現在、満十八歳後の青年が一定期間、奉仕活動を行う方法、教員免許の更新、新しいタイプの学校、国際的競争力のある高等教育、青少年の体力の低下への対応、年齢で学年が変わること、教育現場における平等の問題などを検討していること等を明らかにした。また各委員の分科会分属も決まり、今後、専門委員、臨時委員が選任され、五分科会がスタートする。
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