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記事2001年12月3日 31号 (2面) 
教育基本法見直しで賛否両論
中教審総会
法の趣旨実現こそ重要≠フ声も
 十一月二十六日、都内で開かれた中央教育審議会の第十回総会では、遠山敦子・文部科学大臣から教育振興基本計画の策定と教育基本法の検討の二項目が諮問された後、早速、両諮問事項に関する自由討議が行われた。議論の焦点となったのは、両諮問事項のうち教育振興基本計画の策定についての検討を先行させることと、教育基本法の見直しの是非について。
 このうち教育基本法に関しては「教育基本法は憲法と一体のもの。憲法が掲げる理想は変わっていない。直ちに見直さなくても教育改革に支障をきたさない。国民的コンセンサスを得るべく慎重な議論を強く望みたい」「教育基本法に間違ったことはない。むしろそれを行ってこなかったことが問題。基本法の下で作られた既存の制度について率直な議論が必要。まず改正ありきではなく、実質を考えるべきだ」「教育基本法に示されている理念を疎かにしている。基本理念を十分に認識し直すことが必要」といった早急な見直しに反対する意見があった一方で、「教育基本法は五十数年たった今、上手く適合していない。今教育基本法がなかったら何を作るか考えた方がいい」「教育基本法に間違っていることはないが、現実との差は大きい。見直す時期に来ている」「(教育基本法は)正しいがあまりに高く書きすぎている」「本来、基本法が持つ政策の方向付けを出していかないといけない。教育基本法は準憲法ではない」など見直しを進めるべきだとの意見も数多く聞かれた。そのほか「(議論は)あまり構えず淡々と行った方がいい」といった意見や「みんな違ってみんないい。勇気をもって教育できるものにしてほしい」「是非人間教育を推し進めるものになればいい」「分かりやすいものにしてほしい」といった方向性に関する意見も出された。一方、教育振興基本計画を先行審議することについては、大きな反対はなかったが、「振興基本計画と基本法は微妙に絡むもの。例えば義務教育の学制がどうなるのか分からないで振興計画をたてるのは難しい。部会等の持ち方を工夫してほしい」「平行して交差してどんどん進めていかないと成果が出ない」との意見も聞かれた。このほか既存の分科会や部会で審議している内容とのかかわりについての質問もあった。
 文部科学省は現在審議を進めている分科会や部会等に検討結果についても教育振興基本計画に反映させていく方針を示した。

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