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記事2001年12月3日 31号 (2面) 
女子高の共学化有効
充足率は80・6%に低下 公立の総合学科など影響
13年度の生徒収容対策で報告書 日私中高連
生徒収容 充足率は改善へ 男子校の共学化は有意性なし
 出生率の低下による長引く生徒減少期の中で、とりわけ生徒募集が厳しい私立女子高校の共学化が相次いでいるが、女子高校の共学化にはほとんどの場合、生徒募集の面で一定の効果が認められることが、十一月二十六日、日本私立中学高等学校連合会(堀越克明会長=堀越高校長)の生徒収容対策委員会(上田祐規委員長=鎮西高校長)がまとめた調査報告書で明らかになった。
 私立女子高校の共学化効果の検証結果を報告したのは同連合会の「平成十三年度生徒収容対策に関する調査報告」。毎年、同委員会の大坪孝雄特別委員(宮崎女子短期大学長)が中心となって、公私立高校における生徒入学状況や時系列変化、今後の見通しなどを集計分析、報告書にまとめている。報告によると、私立の女子高校の募集定員充足率は平成十一年度の八五・四%から十二年度には八三・五%に、十三年度には八〇・六%に低下しており、同じ十三年度、男子校の充足率が九五・五%、男女校が九八・四%と高いのに比べると大きな違い。また十年度から十三年度まで募集定員充足率が八〇%未満だった高校は女子高で六十八校だったが、それは全国の私立女子高の一七・六%を占めたが、定員充足率八〇%未満の男子校は男子校全体の七・七%、八〇%未満の男女校は男女校全体の一〇・五%と女子高を大きく下回っていた。反対に募集定員充足率一〇〇%以上の高校は、女子高校の場合、一二・五%に過ぎず、男子校、男女校は二〇%台。
 私立女子高校の苦戦は、これまで男子生徒の入学する割合が高かった工業科などの職業学科が、公立高校で相次いで女子の人気の高い総合学科に衣替えしたことや、一部の地域では中学卒業者の男女比率を上回る女子を入学させているなどの原因があるようだ。こうした環境の中で生徒募集に苦戦する私立女子高校では男女共学化に踏み切る学校が増えており、全国で十二年度には十九校の女子高校が、また十三年度には十四校の女子高校が共学化に踏み切った。
 それらの高校の定員充足率を九年度から十三年度までの変化でみると、十二年度転換校の転換前三年間の平均定員充足率は七六・七%だったが、共学化後の十二年度は一一九・三%、十三年度は一〇四・六%と上昇した。十三年度に転換した女子高校も同様の結果だった。女子高校の共学化には、同時期にカリキュラム改革や校舎の改築等が行われている場合も考えられるが、同報告は、明らかに共学化の有意性が認められるとしている。ただし例外もあり、十二年度転換校より十三年度転換校の方が定員充足率の低下した学校が増えていた。男子高の共学化には有意性はなかった。



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