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記事2001年12月3日 31号 (1面) 
中高連、日私小連から意見徴収
総合規制改革会議
私立小中設置促進 財政支援が必要
私学審は「公正」な立場で審議
 政府の「総合規制改革会議」の教育ワーキンググループ(主査=米澤明憲・東京大学大学院教授)は、十一月十五日、東京・虎ノ門の同会議事務局で日本私立中学高等学校連合会と日本私立小学校連合会から同会議が七月に公表した審議の「中間とりまとめ」に対する意見を聴取した。七月の「中間とりまとめ」で同会議は、私立小・中学校の設置促進に向けて設置基準の明確化と緩和、準則主義に基づく設置認可、設置認可の是非等を知事に答申する私学審議会の見直しなどを提言していた。
 
 この日のヒアリングで中高連等は、私立小・中学校がこれまで増加してこなかったのは、制度上の問題ではなく、私立学校には公立学校の義務教育費国庫負担法に相当するものがなく、大きな学費の公私間格差が生じ、それが最大の原因となっていることなどを指摘。また私学審議会に関しては、委員は出身母体とは関係なく公正・公平、公益の立場から審議を行い、審議の公正を期すため、会議の運営上からも工夫が行われていること、私学関係者に重点を置いた委員構成は、歴史上の反省を踏まえて私立学校の自主性、独自性に配慮したものであること、また準則主義によって私立学校の設置認可が自由化されることは子供たちの利益につながらないことなどを説明し、理解を求めた。

設置基準できる限り簡素に

 さらに設置基準に関して私学側は、国が定める基本的な基準と都道府県が地域の実情を踏まえて定める基準とがあいまって、総体としての設置基準が機能すればいいとし、総体としての設置基準はできる限り簡素化し、より多くの部分を各学校にゆだねること、また高校の設置基準についても簡素化の方向で見直す必要性などを指摘した。
 一方、公立学校でのコミュニティ・スクール創設に関しては、その新たな教育活動は現行制度でも実現可能で、学校制度に組み入れるのは「時期尚早」などの考えを示し、中教審等での更なる検討を求めた。
 この日はワーキンググループ側から米澤主査、森稔・副主査(森ビル(株)代表取締役社長)ら四人が、中高連からは酒井A副会長(東京女子学院中学高校長)、久保田宏明・常任理事(穎明館中学・高校長)、日私小連からは武田博信・副会長(トキワ松学園小学校長)、大森隆實・常任理事(目黒星美学園小学校長)が出席した。意見発表に次ぐ質疑では、臨教審答申で私学振興がいわれて以来十数年経てもなお私立学校が増えない理由について数度にわたり質問が出された。それに対し私学側は現行の義務教育国庫負担法に基づく財政支援制度に相当するものが、私立学校にも作られれば、私立小・中学校の数も児童生徒数も大幅に増加するとの見通しを明らかにした。
 反対に私学側からの私立小・中学校の設置促進では、どのくらいの比率が望ましいかとの質問に森副主査は個人的には二けたのパーセンテージが望ましいと思う、と答えた。

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