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記事2001年12月23日 33号 (1面) 
短大資産規模が縮小
高校教職員配置見直し急務、施設設備整備手控え
私学事業団公表
今日の私学財政
 日本私立学校振興・共済事業団(國岡昭夫理事長)は、このほど『平成十三年度版 今日の私学財政』(大学・短期大学編、高等学校編の二分冊)を公表した。これは平成十二年度の私立学校の財務状況を中心に、平成八年度から五年間の変化などをまとめたもの。調査対象となったのは大学法人の九八・〇%、短大法人の九八・六%、高校法人の九三・五%の学校法人である。
 報告書によると、就学人口の減少などの影響を受け、短大では一法人当たりの資産規模が縮小する傾向を続けており、高校では施設設備整備を手控える傾向を強めており、生徒数の減少に見合った教職員数の配置の見直しが急務となっていること等が明らかになった。各学校法人の財務状況の特徴を見ると。
 〔大学法人〕一法人当たりの資産総額は、八年度の四百二十一億二千四百万円から四百五十二億九千二百万円に七・五%伸び、一方、負債総額はこの間、七・三%減少した。総資産に占める総負債の割合を示す総負債比率もこの五年間に二〇・四%から一七・六%に低下し、財政の健全度が引き続き高まっていることなどが分かった。平成十二年度の消費収支差額(消費収入から消費支出を引いた額)の累計額は消費収支差額が支出超過傾向であることや基本金組み入れ額の増加などにより平成十一年度に引き続いて支出超過となった。また消費収支状況では、この五年間に帰属収入が八年度を一〇〇とした場合、十二年度は一〇六・九となったものの、消費支出はそれを上回り一一〇・八へと膨らんでいた。こうしたことから消費支出比率(消費収入に占める消費支出の割合)は、八年度の八五・二%から十二年度には八八・三%に上昇するなど、徐々ではあるが財務状況に変化(悪化)の兆しが見えている。
 〔短期大学〕八年度以降負債の減少が続いているものの、十年度以降は資産総額が減少しており、全体としては、一法人当たりの資産規模が縮小している状況だ。また一法人当たりの消費収支差額の累計額は八年度の八億七千三百万円から十二年度にはその十分の一にと収入超過額が減額している。五年間の消費収支状況では、消費支出比率(帰属収入に占める消費支出の割合は八年度の八五・四%から十二年度には九五・五%に上昇している。一法人当たりの学生生徒等納付金はこの五年間に二〇・二%減少、その間の人件費の圧縮(六・一%減)を上回る下げ幅となっている。
 〔高等学校〕この五年間の変化を見ると、資産総額が増加、負債総額が減少するなど自己資金に厚みが増す傾向も見られるが、これは長引く就学人口減少期の中で借入金による施設・設備等の整備を控え、資金を負債の償還に回すという減量経営が行われているためで、十二年度に帰属収入で消費支出をまかなえなかった法人は前年度比十四法人増の二百一法人に上った。これは集計法人の約三割。消費支出比率の全国平均は九三・六%だが、県によっては一〇〇%を超えているところもあり、就学人口の減少は、出生率の低下から先の見えない状況となっているため、報告書は生徒数等の規模に見合った教職員数の配置の見直しが急務の課題と指摘している。

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