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記事2001年12月13日 32号 (5面) 
企業トップインタビュー 教育はこれでよいのか
日興フィナンシャル・インテリジェンス(株)理事長野中ともよ氏
「人間力」持つ子供
自負と責任持って咲かせる花 厳しい時代だから創造性発揮できる


 「学校経営について独自の姿勢(アイデンティティ)を持っている学校では、素晴らしい“人間力”を持った子供が育つのではないですか」
 野中ともよ理事長は、こう語る。「文部科学省では五年ほど前からさまざまな規制緩和を行ってきた。教育改革は、できないのではなく、やろうとしていないのだと思います。問題なのは、各学校が二十一世紀に他者と違うところをどのように打ち出していくか。これを危機感を持って考えているリーダーのいる学校は、確実に伸びていますよ(笑)」と続けた。
 その点からすれば、私学はフレキシブルにやれるという。「どれだけの自負と責任を持ってどういう花を咲かせていかなければならないのか、厳しい時代だからこそ、創造性が発揮できるのではないでしょうか。その意味でいまは面白い時代と考えたほうがいい」と前向きだ。野中理事長の言う“人間力”とは、生まれた時から社会との接点の中で生かされていることを知る。これが「生きる力」、つまり「地球人」としての“人間力”だと説明する。
 従来の日本の社会は年功序列制度の下で、上からの指図に従って同じ行動をする“人員”が必要だったが、これからは、人員ではなく、“人材”づくりだと言う。
 「子供が先生のいうことを覚えて同じことを吐き出すのが試験です。「先生、どうして種から芽が出るのですか』との子供の質問に『水をやったら三カ月後に芽が出る。これが発芽の第一段階という。覚えなさい』。これでは、生きる力などが育つはずがありません。しかし、『どうしてだろう。この種を開けてみよう。ひまわりの種は食べられるから食べてみようか。今度は植えてみよう』と言って、植える。二週間後に芽が出てきたら、子供たちは考えると思います。命って何だろう。どこから来てどこへ行くの?。こうして子供は植物を大事にしたり、向き合うことを覚えます」
 「学歴を私は、バーコード社会と呼んでいますが(笑)、子供の額に学校名を書いたバーコードを刷り込んで、社会人になる時、このバーコードを読み取る。でもこんなバーコード社会は終わりました。最終学歴の意味はありません。どこの学校を出たのではなく、学校で何を学んだのかがようやく問われる時代になりました。バーコード社会と同じ思考方法が『国際人』。これから目指すのは国際人ではなく、『地球人』です」と笑う。


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