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記事2001年11月3日 28号 (2面) 
子供の体力向上策討議
“体力重視のキャンペーン重要”
中教審スポーツ・青少年分科会
 中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会(分科会長=奥島孝康・早稲田大学総長)は十月二十四日、東京・虎ノ門の霞が関東京曾舘で第七回会合を開き、子供の体力向上策などについて討議した。この日の会議では、文部科学省が先に、教育関係者や研究者、元トッププレーヤー、地域のスポーツクラブ関係者、保護者、マスコミ関係者ら三十二人に依頼、会議の時点までに三十人から寄せられた「子供の体力向上に関する提言」の概要が報告され、その内容を基に各委員が一人ひとり意見を発表した。次回は十一月二十八日の予定で子供の体力向上に関して論点を整理した文書が報告される予定。
 この日報告された教育関係者らの提言は、大きく(1)向上を図るべき子供の体力をどのようにとらえるか(2)子供の体力が低下している原因や背景は何か(3)子供の体力の低下は、将来わが国の社会にどのような影響を及ぼすと考えられるか(4)どのようにしたら子供の体力が向上するか、の四点に整理され報告された。
 このうち(1)の子供の体力に関しては、「行動体力のほか運動能力を向上させようとする児童生徒の意思、判断、意欲といった精神的要素も重要」「防衛体力についても論議すべきであり、その体力低下には防衛体力や免疫力の低下が随伴している」などの意見が寄せられた。(2)の体力低下の背景・原因に関しては、「子供は家庭で身体的な仕事をしなくなり、屋外遊びが激減し、屋内遊びも体を動かさないテレビゲーム等に変化」「大人の生活リズムの影響を受け、子供の生活リズムも夜型になった」「食生活の変化により高カロリーを摂取しているため体格のみ成長」などの意見が多かった。(3)の将来への影響に関しては、「生活習慣病が増加することは医療費の増加にも影響する」「生活習慣病や安全能力の低下に伴う事故・災害等の増加が予想される」「日本のスポーツ界が衰退する」といった意見が見られた。(4)の体力向上策に関しては、「学校体育では週三時間の授業が不可欠であり、さらに潤沢な運動量とするためには、効果的な体育授業の質的改善が必要」「中学校の保健体育の教員免許を持つ者が小学校で教える」「校庭の芝生化によって、雨天後の利用が容易、取り組める運動が増えるなど子供の運動量が増加し、学校体育が充実する」「本活的なスポーツ団体等ではなく、子供が好きなときに、好きな運動を楽しむことができる場を用意する」といった意見が目立った。こうした提言に対して、委員からは保護者は知育重視の姿勢だが、体力こそ重要だとの大キャンペーン展開の必要性が指摘されたほか、「体力年齢に応じて企業の定年年齢を延長するなどのメリットがあれば体力向上に関心が集まる」「提言にあったが、さまざまなスポーツを楽しめる総合運動部は面白い」「スポーツ嫌いを作らないために保健体育に成績評価はいらない」などの意見が出された。また指導する側の指導力の向上やボランティアなどを加え二人での指導などの重要性も指摘された。

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