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記事2001年11月3日 28号 (1面) 
教免更新制見送り
中教審・教員養成部会
懲戒や分限制度運用厳正に
教職10年全員に新研修制度
 中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会(部会長=高倉翔・明海大学長)は、十月三十日、東京都内の会館で第十回会合を開き、諮問事項の一つとして検討してきた「教員免許更新制」については、導入を見送るものの、教員の適格性確保や専門性向上に向け、懲戒制度や分限制度など現行制度をこれまで以上に厳正に運用、合わせて教職経験十年を経過した全教員に新たな研修制度を創設する方針等を固めた。前回の会合で素案の審議を行った教員免許制度の弾力化や社会人の積極活用などと合わせて、早ければ十一月六日の次回会合で、さらに検討が必要な場合でも十一月十三日に「中間報告」を取りまとめる予定。教員免許更新制については、昨年、教育改革国民会議(総理の私的諮問機関)が教師の意欲や努力が報われる評価体制づくりの観点から、導入の可能性について検討を求める提言をまとめ、今年になってからは文部科学大臣から、可能性の検討が諮問されていた。
 同部会では現行制度の厳正な運用で事足りるため、敢えて導入する必要性が乏しい、都道府県教育委員会の事務量が増大し、費用対効果の点からも問題があるなどと判断、導入を見送るものの、更新制導入の趣旨を踏まえて、(1)全ての都道府県・指定都市教育委員会において指導力が不足する教員等に対する人事管理システムを構築していく(2)懲戒免職あるいは分限処分を受けた教員は教員免許状の取り上げ処分とする。また現行制度で二年後には教職に復帰できる可能性を設けていることに関しても他の制度との整合性を考慮しつつ期間の延長を検討する(3)新たに十年経験教員に対して勤務成績の評定結果や研修実績等に応じた研修を義務付け、一定の力量を備えた教員には更に指導力を高める研修や管理職の素養を身につける研修を実施、反対に十年研修で指導力改善が必要となった教員についてはさらに個別研修を行う。これらはいずれも国公立学校に対する措置。
 この日示された素案の大筋に関して委員から異論はなかったが、「いじめや不登校など現在教育界が抱える問題について教員の責任が強調されすぎ、まじめに取り組んでいる教員の意欲をそがない工夫を」「国民会議が提言した教師の意欲や努力が報われる評価体制づくりとの視点が薄い」といった意見や、十年目という時期での研修に効果の面で疑問を呈する意見、教員評価では、評価する側の能力向上へのバックアップが必要との意見も聞かれた。

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