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記事2001年11月3日 28号 (1面) 
収益事業 大学6割、短大3割実施
学校法人経営の充実・強化等に関する調査 文部科学省
不動産の賃貸、物品販売など多い
専任教員再雇用、人件費抑制
 全国の大学、短期大学を設置する学校法人のうち、平成十一年度に何らかの収益事業を行った大学法人は全体の六割に達し、短大法人でも三割が実施していることが、文部科学省がこのほどまとめた「学校法人経営の充実・強化等に関する調査報告書」で明らかになった。報告書ではこのほかにも財務体質を強化する取り組みについて調査した結果が報告されており、地方公共団体から何らかの支援を受けた学校法人は六割以上であることなども明らかになった。
 調査は同省が日本私立学校振興・共済事業団の協力を得て、昨年八月に実施。大学法人は四百四十四法人のうち四百三十三法人、短大法人は二百六法人のうち百八十八法人が回答した。
 報告書によると、十一年度に、私立学校法上あるいは法人税法上の収益事業、別法人を設立して行う収益事業のいずれかの収益事業を実施した大学法人は二百六十三法人、短期大学法人は六十六法人。実施している事業は、不動産の賃貸業、飲食店業、物品販売業が比較的多い。大半が法人税法上の収益事業の実施だが、そのうち、十一年度当期純利益で五千万円以上の利益を上げている学校法人は十九法人だった。一方、損失を計上した学校法人は百六十三法人で、営業努力や人件費抑制によって利益を上げようとしている事例も報告されている。
 七年度から十一年度までの五年間に地方公共団体から補助金(私立高等学校などに対する経常費補助金は除く)の交付、土地の貸与、周辺環境の整備といった支援を受けた大学法人は六八・八%。短期大学法人は六〇・一%だった。
 このほかの財務体質を強化する取り組みとしては、寄付金を募集している大学法人が五三・九%、短大法人が二九・三%あったが、近年の経済状況を反映して、寄付金を依頼してもその余裕がないとして断られるケースが多い。
 報告書では人事制度の改善、組織運営の改革などについても調査を行った結果が報告されている。効果の上がっている人件費抑制策としては、定年後再雇用者の給与の抑制、最低担当時間数の引き上げ、人事評価・目標達成度評価制度の導入などの取り組みが見られる。専任教員の再雇用制度を設けている大学法人は六三・〇%、短大法人は六四・九%。その人件費抑制効果については、大学法人で七六・一%、短大法人で八二・八%が効果を認めている。また、学校法人の組織運営上の課題を聞いたところ、理事会・理事長のリーダーシップの確立・強化を挙げる大学法人が五九・〇%、短大法人が五三・二%と割合が高かった。

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