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記事2001年11月23日 30号 (3面) 
新時代の私学教育テーマに
第49回全国私学 教育研究集会 徳島大会
800人超える教員らが参加
3日間にわたり研究協議
 今年で四十九回目となる全国私学教育研究集会が十月十五日から三日間、徳島市の徳島文理大学を会場に開かれた。「新時代の私学教育中国・四国からの発信」を研究目標にした今大会には、全国から八百三十人の私立中学高校教員らが参加、教育課程など九つの部会・分科会で研究発表や講演、見学研修等を通じ今後の教育のあり方を研究協議した。この大会は財団法人私学研修福祉会が主催、中国・四国地区私立中学高等学校連合会が実施、徳島県、徳島市、日本私立中学高等学校連合会が後援、財団法人日本私学教育研究所が協力したもの。
 開会の辞に続いてあいさつに立った日本私学教育研究所の堀越克明理事長は、「二十一世紀に入ったが、経済不況、少子化など私学の行く手は必ずしも安らかではない。しかしそういう時こそ私学人が団結して次代を担う子供の教育に当たることが国民の期待だと考えている」などとし、参加した教員らに三日間にわたる研修への熱心な取り組みを要請した。また今大会の実行委員長を務める廣瀬忠明・中国・四国地区私立中学高等学校連合会長は「現在、教育をめぐり多くの問題が提起されている。このような状況は、戦後の六・三制の学制改革に並ぶ大きな改革だ」としたうえで私学が長年培ってきた進取の気風を今一度発揮して厳しい時代に臆することなく進んで行くよう呼びかけるとともに、研修への主体的取り組みを促した。この後、圓藤寿穂・徳島県知事、小池正勝・徳島市長(代読)らがあいさつ、私学教育への期待感を表明した。
 開会式に続いては、勝沼信彦・徳島文理大学長が「独創的発想のすすめ」と題して記念講演した。わが国では、華岡青洲や平賀源内といった独創的な研究者をこれまでにも輩出するなど独創的な人材はいるものの、独創的な発見を上手く伸ばす仕組みがないことを指摘、(1)発想の転換(2)自分の頭だけで徹底的に考え詰めること(3)偶然の機会を捉えて大きな発見に繋げることの大切さを強調した。
 記念講演の後は、徳島文理大学管弦楽団・合唱団が、「運命」第一楽章(ベートーベン作曲)、「トロヴァトーレ(鍛冶屋の合唱)」(ヴェルディ作曲)等の演奏・合唱を披露した。全体会会場は、世界的にトップクラスの音楽ホールである徳島文理大学百十周年記念むらさきホール。参加者はひと時、総勢百八十人の美しい演奏・歌声に酔いしれた。

新課程への対応中心に
9部会・分科会で事例発表等

 二日目からは教育課程など四つの部会と教科別の五つの分科会に分かれて研究協議が行われ、新教育課程に関する実践事例の発表や講演、徳島文理大学周辺の美術館や最先端企業等での見学研修が行われた。このうち教育課程研修会では新しい学習指導要領の目玉ともいうべき「総合的な学習の時間」を中心に新教育課程に取り組んでいる私立中学高校三校がそれぞれユニークな実践を報告したほか、文部科学省の玉井日出夫・大臣官房審議官(初等中等教育局担当)が、「これからの高校教育」と題して現在進められている教育改革の社会的・歴史的背景やねらいなどを解説した。
 私立高校の実践報告では、進学実績を低下させてはいけないという制約の中でどうにか総合学習の時間を確保しているといった報告や、一方で総合学習を核としたカリキュラム作りを全校挙げて取り組んでいるなど総合学習に対する私立高校の意気込みに大きな温度差を感じさせる発表となった。このほか財団法人日本私学教育研究所の菅原亮芳・主任研究員が、「私学の教育課程編成の状況と課題」と題して講演し、数校の教育課程編成を例に引いて特徴や問題点を報告した。
 生徒指導部会では「明朗で規律正しい学校生活をおくるために」を研究目標に三つの研究発表が行われたほか、犬塚石夫・徳島文理大学教授が「対人関係から見た生徒指導上の問題」と題して講演を行った。研究発表では「高知県私立中・高校生徒指導連絡協議会の活動について」矢野泰久・土佐中学高校教諭ら三人が報告、また野村正信・高知学芸中学高校教諭が自校における生徒指導の現状と不登校生について、宮地敬・前高知学芸高校教頭が同校のソフトボール部が高校総体で優勝するまでの軌跡を報告した。日本私学教育研究所の櫻井るゑ子専任研究員が指導助言者を務めた。このほか学校経営や国際理解教育、国語科、理科などの部会・分科会が開かれた。



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